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「どうかボーを叩かないでください」SNSで誹謗中傷を受けて考えた、ファンと選手の幸福な関係

文春野球コラム ペナントレース2023

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人は“共感してほしい生き物”

 SNSを利用している選手はたくさんいる。有名人である彼らはSNSのDMで心ない誹謗中傷を浴びせられ、ひどい時には殺害予告が届く場合もある。

 敗因に絡んで叩かれる選手自身、「自分が打たなかったから負けた」「あそこで抑えれば負けなかった」と最もよく分かっているだろう。

 対してファンの立場からすれば、不満を持つのは全然悪いことではない。むしろ全力で応援しているからこそ、生まれる感情だ。そう考えると、不満を持つのは当たり前とも言える。

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 大事なのは、その感情をどう処理するかだ。

 人は“共感してほしい生き物”だ。それゆえに自分が感じた不満に共感を得たくて、SNSにそうしたコメントを呟く人もいるだろう。

 しかし、不満と誹謗中傷は表裏一体だ。不満の発露はいきすぎると、心ない誹謗中傷へと一変する。そのため不満と誹謗中傷の境界線を理解することが一番重要だと私は思う。

ファンと選手をつなぐリスペクト

 現代ではSNSの活用や各球団の多様なファンサービスなどにより、ファンと選手との距離がとても近くなっているように感じる。

 そのため、昔よりもファンの声が格段に容易に選手の耳に届くようになった。だからこそファンの応援する声も選手の耳に入りやすくなった一方、軽い気持ちでSNSに書き込んだ批判的な声や、誹謗中傷も選手に直接届けられる。

 ファンと選手の距離が近くなったこと自体は、とても良いことだと思う。しかし距離感が近いからこそ、互いが傷つけ合う事態も容易に起こってしまう。

 だからこそ、ファンと選手の関係が大切になると私は考えている。

 ファンは全力プレーで楽しませてくれる選手に、一生懸命声援を送る。選手は応援してくれるファンに感謝を表す。お互いにリスペクトの気持ちを持つことで、近い距離感の中で良好な関係を保っていけるのだと思う。

 ファンはチームを全力で応援しているからこそ、ミスをした選手や活躍出来なかった選手に強く当たってしまうのだろう。

 しかし、ミスをしてもいいとか、活躍出来なくてもいいと考えている選手は一人もいないはずだ。

 ファンはそうやって想像し、「お前がミスしなければ!」と思ったときでも少し大人になってグッと不満の声を飲み込み、どんな時でも声援を送る。その姿勢が最も大切なのではないかと思う。

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