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西武を支える「骨と牙」 栗山巧と中村剛也のおかげで打てた“奇跡”の満塁ホームラン

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/09/10

 みなさん、こんにちは! 埼玉西武ライオンズOBの米野智人です。

 2021年からライオンズの本拠地ベルーナドームのライトスタンド後方にあるピンクのお店「BACKYARD BUTCHERS」を出店し営業しております。いつもご来店くださっている皆さま、誠にありがとうございます。

 一昨年から始めたお店も早くも3年目のシーズンを無事にもうすぐ終えようとしております。これも皆さまのおかげです。心から感謝しています。

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 今回は、高校を卒業して1年目から見てきている栗山巧選手と中村剛也選手について書かせていただこうと思います。

栗山巧(左)と中村剛也 ©時事通信社

ピンチを救うスーパーヒーロー

「骨と牙」

 2017年に球団が実施した選手ポスター企画の際にふたりに付けられたキャッチコピーだ。以降、彼らを指す言葉としてファンやマスコミに定着した。

 初めて聞いたとき、なんとしっくりくるキャッチコピーなんだ! と思った。椎名林檎さんの代表曲「罪と罰」の響きにも似ているせいなのか(笑)。

 スーッと入ってくる、素敵な言葉だ。そう感じた人も少なくないのではないだろうか。

 チーム名のライオンズ。みなさんもご存知、ライオンは動物の中で一番強いと言われ、「百獣の王」と呼ばれている。

 改めて、ライオンのことを少し調べてみた。

 じつは、ライオンのオスはほとんど狩りをしない。皆さんはご存知でしたか?

 え! マジかよ? と思いますよね。

 メスが主体となって獲物を狙い、また、チームプレーで狩りをするのが特徴。大きな動物にメスたちが苦戦していると、オスが現れて獲物を倒す。いざというときに、ピンチのメスたちを助けて厳しい自然界を生き抜く!

 僕が参照した資料には、そう書かれていた。

 なるほど。そういうことか!

 まさに、栗山と中村のことのようだ!!

 ここ数年のライオンズのチーム事情が、まさに書かれているように感じた。

 気づけば、彼らはもう40歳。20代、30代の頃のように毎試合フル出場することは減ったが、チームがピンチのときに現れて、二人に救われる場面がたくさんあった。

 まさにライオンの「骨と牙」というキャッチコピーがドンピシャだ。

栗山のおかげで打てた一撃

 改めて、彼らがまだ二軍時代だった頃を思い出す。

 2001年にドラフト指名されてライオンズに入団したおかわり君と栗。

 そしてもうひとり、彼らのひとつ上の中島裕之(ナカジー/現巨人)を初めてみたときは、この3人は絶対に近い将来、ライオンズの顔になるという直感があった。他の選手にはない、オーラのようなものがあふれ出ていたからだ。

 3人は切磋琢磨しながら、みるみると成長していった。若いうちからライオンズの主力として活躍したのは僕の予想どおりで、その姿を見てビックリすることはなかった。

 栗は2004年に一軍で初出場、初先発、初安打を記録し、翌2005年から一軍に定着。2007年には100試合以上に出場し、オフには球団の期待が伝わる「背番号1」に変更。2008年には最多安打を獲得し、ベストナインにも選出されて球界を代表する選手に成長した。しかも、男前だ! その後の活躍は、みなさんもご存知の通りだろう。

 栗がチームのキャプテンに就任した2012年の4月26日、当時Yahoo!ドーム(現PayPayドーム)での福岡ソフトバンクホークス戦で9回2アウトから、僕は逆転満塁ホームランを放った。じつは、このときのバットは数日前に栗から譲り受けたものだった。

 おそらく自分のバットだったら、奇跡のグランドスラムは生まれていなかっただろう。

 ライオンズファンだけでなく、多くの野球ファンの方々に「あれは本当に凄かった。感動しました」と今も言ってもらえる。その一打は、栗のおかげなのだ。ありがとう!

 文化放送の斉藤一美さんの実況もありがとうございます(笑)。

三拍子揃った男前

 もう一つ、強く覚えているエピソードがある。

 2014年の4月頃だったと思うが、QVCマリンフィールド(現ZOZOマリンスタジアム)での千葉ロッテマリーンズ戦の前、キャプテンだった栗が、当時控えの外野手としてベンチスタートが多かった僕に話しかけてきたことだ。

栗「ヨネさんちょっといいですか?」
ヨネ「ん? どうしたの?」
栗「ベンチにいるとき、いつも以上に声を出してチームを盛り上げてもらってもいいですか?」
ヨネ「うん、OK。わかった!」
栗「ありがとうございます。お願いします」

 当時のライオンズは開幕から調子がなかなか上がらず、チームの雰囲気が暗かった。栗と交わしたのは短い会話だったが、キャプテンとしての責任やチームに対する思いが伝わってきた。

 その試合から、ベンチにいるときの栗はいつも以上にチームを鼓舞した。打席に向かう選手たちに、前向きな声をかけていく。

 ベンチに控える僕自身も、試合に出ている選手たちと一丸になってチームの戦力になることが大事だ。もちろん頭ではわかっていたが、改めて栗に気付かされたことをよく覚えている。

 本当に、いい男なのだ!

 顔よし、頭よし、性格よし。

 野球以外でも三拍子揃った、男前なのです。

 学年は2つ下で後輩だけど、野球人としては本当に多くを学ばせてもらった。先輩のような存在だ。

 ただ、ひとつだけ心残りがある。連絡先を聞けなかった……(苦笑)。

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