1ページ目から読む
2/2ページ目

おかわり君と交わした打撃談義

 そして、“おかわり君”こと中村剛也。栗と同期の2001年、ドラフト2巡目でライオンズに入団した。

 2年目の2003年に4番で初出場すると、初打席で初安打と初打点を記録。2005年にはレギュラーに定着し、2008年に初のホームラン王を獲得している。その後6度のホームラン王になり、名実ともに球界を代表するホームランキングになった。

 僕が2010年にヤクルトからライオンズにトレードで移籍したとき、右肘痛で二軍でリハビリをしていたおかわり君のロッカーとたまたま隣になった。

ADVERTISEMENT

中村「あ! ヨネさん。よろしくお願いします」
ヨネ「おー! よろしくー」

 これが、対戦試合の打席の挨拶以外では初の会話だったと思う。

 でも学年も2つ違いで、お互い若い頃から二軍の試合でよく対戦していたし、癒し系のおかわり君なので親近感があり、仲良くなれそうな予感がした(笑)。

 そう思った通りに仲良くなったおかわり君とは、僕が外野手に転向した2012年の春季キャンプで隣の部屋になった。毎日のように部屋に押しかけて、バッティングのことをいろいろ聞いた。

ヨネ「コンコン(部屋をノック)」
中村「はい(そっけない返事)」
ヨネ「お疲れさまー」
中村「またっすかー! なんすかー?」

 最後の方は、本当にウザがられていた……。

 休みの前日も食事に誘って、何億円も稼いでるおかわり君に対し、先輩の米野が奢る。それが野球界の慣習だ。その代わりにバッティングのことを聞きまくってやりました(笑)。

 しつこく尋ねた甲斐があり、外野に転向した大事なこのシーズン、僕は外野手として開幕一軍の切符を掴んだ。そして、あの逆転満塁ホームランを放った。

 そう。あのホームランは、骨と牙のおかげなのだ!

 ふたりとも、マジありがとうーーーーー。

「花火の如く空に打ち上げる天性の放物線」

 ライオンズの後輩、高橋朋己が考えたキャッチフレーズだ。おかわり君のアーチをこれからもたくさん見たい。

 まだまだ頼むよ、おかわり君!

ライオンズに見る、夢の続き

 僕が初めて、「ライオンズって本当に強い」と思ったのは1992年10月、スワローズと対戦した日本シリーズだった。

 当時、小学5年生の米野少年はその試合を見て、「プロ野球選手になって、この2チームのどちらかに入団したい」と初めて夢を持った。

 運よく現実となり、2つのチームに在籍することができた。米野少年の夢は叶った。

 しかし、夢には続きがある。

 僕の知っているライオンズは、強い。でも、今は……。

 ずっと強いライオンズでいてほしい。ライオンズファンは待っている。強いライオンズが帰ってくることを!

 栗とおかわり君にはもう少しの間、国(チーム)を守る王(象徴)として、現役でいてほしい。

 それが今の僕の正直な思いだ。彼らが現役としてライオンズにいる間に、若い選手たちにはふたりから全てを吸収するくらいの気持ちで、米野みたいにいろいろ聞きまくってほしい!

 最後にもうひとつ、今年の1月におかわり君とトークショー(@ucchae)を開催させてもらった(どさくさにまぎれてG.G.佐藤も)。本当に楽しくて、思い出になった。ありがとう!

 次は、ぜひ「骨と牙」のトークショーをやりたい。これが最近の米野の夢です。そのときは栗、LINEを交換してね!(笑)

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2023」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/65315 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。