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靴の専門家が「軽量スニーカー」「柔らかい革靴」をおすすめしない“納得の理由”

2023/10/16
note

 実際に、PUMA「ALL-DAY ACTIVE」と「STYLE RIDER PLAY ON」という、使用用途が似たスニーカーを比較してみると、ALL-DAY ACTIVEでは靴底のほとんどがEVAで仕上げられている一方、上位モデルのSTYLE RIDER PLAY ONでは靴底の全体にゴムが貼られていることがわかります。

エントリーモデルの「ALL-DAY ACTIVE」(左)は靴底のほとんどがEVA、上位モデルの「STYLE RIDER PLAY ON」(右)は靴底の全面にゴムが貼られている

「軽い=質の良いスニーカー」という認識は全くの勘違い

 次に見ていきたいのはアッパー(靴底以外の部分)の素材。

 レザースニーカーでは、アッパーに本革でなく人工皮革が用いられているケースもよく見受けられます。

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 人工皮革は、手入れが不要で、重量が軽い一方、足になじみにくく、劣化が早いというデメリットのある素材です。

 本革であれば、足の形になじみやすく、手入れをすれば何年も履けるにもかかわらず、あえて人工皮革にすることで、そうしたメリットをスポイルし、結果として靴の重量が軽量になっているというわけです。

 このように、軽さを売りにしているスニーカーの多くは、「靴底が軽量素材のみの簡易な作り」であったり「アッパーに劣化の早い人工皮革を使用」といった理由から軽量になっているのであり、「軽い=質の良いスニーカー」という認識は全くの勘違いです。

 むしろ、軽量スニーカーは耐久性が低いので、長期間履き続けることが難しいもの。さらに、靴底のゴム素材が省かれている場合は、底のすべり止めが弱くなり、すべったり転んだり、思わぬトラブルにつながることもあります。着用される際は十分にご注意ください。