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最高の指揮官!最高の仲間! オリックス・頓宮裕真の首位打者がルーキー・曽谷龍平に託されたあの試合の感動

文春野球コラム クライマックスシリーズ2023

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「首位打者取らせてあげよう。全部取れよ! 何でも取れ!」

 スタメン発表で、なんとベンチ入りメンバーに「山本由伸」の名前が! 頓宮選手とは幼なじみという絆、そして間違いなく日本一のピッチャーが後ろにお守りのように控えている。熱すぎる!!

 これは、曽谷投手を信じていないということでは決してなく、「余計な重圧は感じなくていいから、いつも通りしっかり腕を振って、勝利をつかみなさい」という中嶋監督から曽谷投手へのメッセージのようにも思えて、試合始まる前からもう涙が……。

 試合後にチェックした球団のインスタグラムでは「直接関係ないかもしれないけど、頓宮に首位打者取らせてあげよう。全部取れよ! 何でも取れ!」と野手陣に声かけする中嶋監督の姿。

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 頓宮選手への優遇ではなく、この先、誰がこういう状況になっても、同じように全力でバックアップするよ、という熱いメッセージだと私は受け取りました。こんなん、そらみんな付いていくわー(涙)。野球のみならず、全国の会社、学校、いろんなグループに各1人ずつ、中嶋監督がいてほしいわー。

 その監督の言葉に力強く頷く森友哉選手にも心揺さぶられました。頓宮選手を「トン」と呼び、とても仲良くしている森選手はこの日は、キャッチャーでもDHでもなく、ライトの守備で出場。どんなボールが飛んできても、ヒットにさせないぞ! 全部俺がノーバンで取ってやる! という強い意思すら感じました。最高の指揮官に最高の仲間達!

 結果はみなさんご存知の通りです。曽谷投手は対近藤選手では4回表にレフトフライに打ち取り、そこで頓宮選手の首位打者の座を決定的にします。そのまま6回までホークス打線を無失点で抑え、勝利投手の権利を持ってマウンドを降りる超ナイスピッチング!

 7回からは、自慢のブルペン陣の継投に入り、今シーズン最終戦を有終の美で飾ったこの試合には、私の好きなオリックスがこれでもかと詰まりまくっていました。

魂揺さぶるドラマを見せてくれる最強のチーム

 山本由伸というお守りを使うことなく頓宮選手の首位打者の座を守り、初勝利も手にしたまさに“取れるものは全部取った”この結果は、きっと曽谷投手にとって、大きな自信になったに違いありません。

 開幕戦、山下舜平大投手のプロ初登板から始まり、最終戦、ルーキーの曽谷龍平投手が先発。そして山岡泰輔投手がきっちり試合をしめる。

 シーズン全体の流れが壮大な映画のストーリーのような、いや映画にしてもできすぎているぐらいすごかった今シーズンのオリックス・バファローズ。

 勝つと決めた日には必ず勝つ。決して個人を犠牲にせず、チームも個人も輝けるよう、取れるものは全部取ろうという姿勢。勝利だけではなく、魂揺さぶるドラマを見せてくれる中嶋監督率いる最強のチームにスタンディングオベーションです。

 クライマックス、そしてその先の日本シリーズではまたどんな戦いを、ドラマを見せてくれるのか。勝敗だけでなく、中嶋監督の采配からも目が離せません。その壮大なイリュージョンの中で、少しでも選手のみなさんの後押しができるよう、ポストシーズンも力いっぱい応援させていただきます。

 今季のレギュラーシーズンで一番印象に残った試合で、コラムを纏めるつもりが、あぁ、やっぱりまた話長くなってしまいました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

©チキチキジョニー石原

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