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――性別適合手術を受けてからはスムーズに新生活を始められたんですか?

歩夢 専門学校では男性として生活していましたし彼女もいて、カウンセリングなども受けていたので、自分が男性であることに対する違和感みたいなものは全くなかったですね。本当に「やっと」という感じで。でも驚いたのは「男性ってこんなに雑な感じで世の中から扱われてるのか!」ということでした。

 

職場で驚いた「筋肉あるかチェックしたいから脱げ」

――雑、というのは?

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歩夢 表現むずかしいんですけど、当たりがキツイっていうか。手術の後から運送の会社で働くことにしたんですけど、「筋肉あるかチェックしたいから脱げ」って言われたんですよ。当時はまだ手術の痕が生々しい時期で、もじもじしていたら最後は横にいた人が助けてくれてなんとかなりましたけど、女性だったら絶対言われんようなことを男性は言われるんやな、っていうのは痛感しました。それまで女の子扱いされるのはずっと嫌でしたけど、それなりに大切にされてきたこともわかったっていうか。

 

――男性になってみないとわからない部分もあったのですね。

歩夢 女性だった頃は男友達と外で遊んでいても、「お前何時まで外にいるんだ、危ないだろう」って僕だけ言われたり。職場でも女性は金髪にピアスやネイルもOKだけど、男性は絶対短髪でヒゲもダメ。なんなら地毛がちょっとでも茶色いと「真っ黒に染めろ」みたいな。僕自身は男性になれて本当によかったけど、男性には男性特有の生きにくさがあるんやなって気づいたんです。