昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

連載テレビ健康診断

亀和田 武
2018/03/26

スタジオに緊張感を取り戻そう。『ひるおび!』――亀和田武「テレビ健康診断」

『ひるおび!』(TBS)

 財務省による森友学園をめぐる決裁文書の改ざんは、今度こそ政権を揺るがすのか。

 というわけで、TBS『ひるおび』を、またときどき観るようになった。なぜ“ときどき”か。ゲストが誰か。それ次第で、スタジオの緊張感と熱量が全然違ってくる。

 思えば昨年の加計学園疑惑の際、『ひるおび』をはじめとする情報番組が、なぜあれほど過熱化し、視聴者をコーフンさせたかといえば、元・文科省官僚の寺脇研が、連日テレビ出演したからだ。

寺脇研 ©文藝春秋

 本人は、文科省を“三流官庁”と自虐的に呼ぶが、むろん“一流”への皮肉で、それを口にできる反権威の気概を持つ稀れな元キャリアだ。

 政権をかばって、根拠のない情報を垂れ流す田﨑史郎に対し「そんなことは、霞ヶ関ではあり得ません」と無表情にピシャリと一言。あの場面に私(たち)は痺れたのだ。

 安倍一強が復活し、『ひるおび』も仲良しクラブで和気あいあい、観る気は失せた。

 そして三月二日、朝日新聞が“財務省による書き換え疑惑”をスクープした。しかし『ひるおび』も反応はヌルかった。レギュラーの八代英輝弁護士は「でも私は財務省がそんなことを、やると思えない。財務省へのリスペクトがありますから」とコメント。

 まるで朝日の誤報、さらにはネツ造を疑うかのような口調だった。しかし財務省が書き換えを認めて状況は急転。

 いよいよ寺脇研の登場だ。なぜ財務省はこんなことを。八代、田﨑などが屁理屈をいえば「自分が罪に問われるようなことをすれば、文書を改ざんする官僚はいます。でも他人のために改ざんする官僚なんて絶対いません」とバッサリ。再びスタジオに緊張感が甦った。いいね。

©文藝春秋

 後日、政局が急転回しても田﨑は「私は与党筋から、あり得るという話を聞いてました」と丸っきりの後出しジャンケン。なぜ、なんのために改ざんがあったのか。何枚ものフリップを使い、時系列を追う時間は退屈そのものだ。

 国民全部が知っている。安倍総理と昭恵夫人、菅官房長官を守るため改ざんがあった。忖度でなく指示があったとさえ考える人は多い。

 スタジオに緊張感を取り戻すために。総理夫妻が罪に問われるのは、どういう場合ですかと八代弁護士に訊きましょうよ、恵くん。もう安倍を守れないとみなす大物代議士はいますか。情報あるでしょと田﨑氏に問いましょう。『ひるおび』の視聴率急上昇は必至です。

▼『ひるおび』
TBS 月~金 10:25~13:55
http://www.tbs.co.jp/hiru-obi/