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梶原 紀章
2018/04/19

ロッテ、マリンスタジアムの売り子たちの“仁義なき戦い” 

文春野球コラム ペナントレース2018

 連日、熱戦が繰り広げられるプロ野球にあって今年、千葉ロッテマリーンズは売り子たちにスポットライトをあてた企画として新たにそれぞれの年間売り上げ杯数を競う売り子ペナントレースを繰り広げている。

 立ち売り販売のドリンクメニュー(ソフトドリンクも含む)を販売している売り子経験5年以内が参加条件で参加希望者は88名(途中参加も可)。東京ドームと富山開催を除くホームゲーム全試合の総販売杯数No.1を達成した売り子には多大なる栄誉と優勝賞品として「ハワイアン航空 成田-ホノルル往復ペア航空券」がプレゼントされる。開幕からホームゲーム6試合を終えた時点でのトップはサッポロ黒ラベル販売4年目のまりなさんで6試合合計1125杯。1試合当たりに換算をすると187.5杯を売っていることになる。

 まりなさんは売るコツについて「とにかくスタンド全体を沢山歩く事です。それと視野を広くしてお声掛け頂いたお客様を見逃さない事。あとはお仕事の前にトマトを一個丸かじりして体力をつけています」と笑う。

売り子ペナントレース参加者大集合! ©梶原記章

勝利の女神も存在?

 現在、ZOZOマリンスタジアムには約150名の売り子がバイト登録をしており、男女比は95:5と圧倒的に女性が多い。20年以上の経験を誇るベテラン売り子もいれば、茨城県から通う子もいる。ビールはもちろんサワー、ハイボールにソフトドリンク。そしてアイス(もちろんロッテアイス)を販売する売り子が球場内スタンドを必死に練り歩く。平日で70~80人。土日祝日となると100名を超えるメンバーが汗を流している。

 売り子を束ねている飲食業者に話を聞くと「ノリのいい元気な子がこの仕事には向いていると思います。買うお客様も元気が出る。そういうのは大事だと思います」と話す。そしてやはりピンポイントで出勤するよりもほぼ毎試合、通っている売り子の方が顔も売れ、常連さんが付く傾向にあるようだ。

 お客様によっては売り子の存在が願懸けになることもある。「この前、あの人から買って勝ったから今日も同じ人から」。「大負けをしていてあの人からビールを買ったらその直後に大逆転勝ちをしたから、この嫌な流れを断ち切るためにまた同じ人を見つけて買おう」というようなファン心理もあるようだ。時にはファンの間で勝利の女神とウワサが広まるような存在の売り子もいるとのこと。ぜひお会いしたいものだ。

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