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2024年の論点

田嶋陽子が82歳でシニアハウスに入居…決断の決め手は「死に場所が見つかって、ホッとしています」

田嶋陽子が82歳でシニアハウスに入居…決断の決め手は「死に場所が見つかって、ホッとしています」

2024/01/06

source : ノンフィクション出版

genre : ライフ, 社会, ライフスタイル

note

「安心して死ねる」というのは一番大事なこと

 自分のなかで、いろいろなことが全部つながりましたね。シニアハウスに入れば、死に水を取ってもらえるし、そこを拠点に仕事ができる。そう思ったら、もう迷いはありません。即決でした。すぐに、東京にもっていた事務所兼自宅を売りに出したら、不動産屋が高く売ってくれて、そのお金で入居が決まりました。

 かれこれ半年が経ちましたが、入居してとても良かったと思っています。自分の部屋は小さいのですが、共用の部分が大きくて気分爽快です。入居されている男の人も女の人も身ギレイに整えて、楽しく会話しながら食事をしています。娯楽室やプール、大浴場、フィットネスルームなどがあって、歌やダンス、麻雀、ビリヤードなどができる。医者や美容師、理髪師も常駐しています。3階と4階は介護病棟になっていて、ケアが必要な人たちが入っています。なるべく自立していたいですが、いざとなったら私もそちらに移ることになるでしょう。最期は、そこで看取ってもらおうと思っています。安心して死ねるというのはつまり、後の処置、処理を全部まかせられるということ。私にとっては一番大事なことです。

シャンソンと書アートに魅せられて

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 東京と軽井沢の2拠点生活は以前と変わりませんが、今は気持ちがずっと楽になりました。私は60代でシャンソンを、70代で書アートをはじめて、他にもまだ現役で仕事をしています。当分の間は、原稿を書いたり作品をつくったりするのは軽井沢。歌うときのドレスや、テレビや講演に必要な衣装はすべてシニアハウスに置いてあります。仕事があるときは東京に来て、シニアハウスに泊まって準備します。次の日、講演に行ったり、シャンソンを歌いに行ったり、月に一度は読売テレビで『そこまで言って委員会NP』の収録があるので、そこから大阪へ。私にとってシニアハウスは老後の生活を送る場所というより、サテライトオフィスのような生活の拠点の一つです。