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「簡単に決められた」「W杯なら致命傷になる」“格下”ベトナムにまさかの2失点…それでも森保ジャパンが逆転勝利できたワケ《城彰二が解説》

AFCアジアカップ2023・城彰二の視点 #1

2024/01/16
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 それに比べてベトナムは、日本対策をしっかりと練って一泡吹かせてやろうとがむしゃらにやってきた。日本はそれを受けた前半だったので、うまく機能しなかった。逆転されたあと、さらにもう1点取られていたら、どうなっていたか分からないですね。

――後半、ベトナムの勢いがかなり落ちました。

 前半終了間際の南野(拓実)の同点ゴールが大きかったですね。ベトナムが逆転してからもハイラインでかなり激しくプレッシャーをかけてきたけど、南野のゴールで追いつかれて、追い越されたときはさすがにガクッときて、へこんでいた。

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 それで後半、一気にペースダウンしたので、そういう意味では南野の同点ゴールがベトナム戦の勝利のポイントになったと思います。

2得点を挙げて勝利に貢献した南野拓実 ©時事通信社

細谷は上田のプレーを参考にしてほしい

――攻撃では、FWの細谷真大選手がスタメンでした。Jリーグで活躍して、初戦で抜擢されましたが、前半での交代でした。

 細谷は、動き出しを含め、本当にいい動きをしていたけど、彼がほしいタイミングでパスが来ない。自分の所属クラブと代表は違うので、もっと自分のタイミングでもらえる回数を増やしていかないといけないですね。そうしないとなかなか活躍できないし、結果の出ない試合が続いたら、もう呼ばれなくなる。上田(綺世)のプレーとかを見て、参考にしてほしいと思います。

――どういうところを参考にするといいのでしょうか。

 上田も最初はパスの出し手との呼吸が合わなくて苦労していたけど、今はだいぶコンビネーションがよくなってきた。それは、選手とコミュニケーションを取って、要求しているから。でも、細谷は黙々とやっている感じで、自分が欲しいタイミングや自分の狙いについて、ちゃんと伝えていないんじゃないかな。

 自分も経験があるけど、何回、動き直してもパスが来ないとイライラするし、いい加減にしろって思うから「出せよ」と言っていました。そういう要求をどんどんしていかないと味方に理解されず、いつまで経ってもボールが出てこない。要求することが結果に繋がるし、チーム全体にいい影響を与えると思うので、そこは若いとか新しく入ったからとか関係なく言っていかないと。

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