サッカー日本代表はキリンチャレンジカップでエルサルバドル代表、ペルー代表と対戦し、それぞれ6-0、4-1で快勝を収めた。元日本代表FWで、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二氏は2つの試合をどう見たのか。話を聞いた。

エルサルバドル代表、ペルー代表に快勝した日本代表 ©時事通信社

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強くなったとは思わない。相手のレベルもあるので…

――今回は、エルサルバドルに6-0、ペルーに4-1での勝利。1戦目は、親善試合というよりも練習試合な体でしたが、対戦相手や内容については、どう見ていましたか。

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城彰二(以下、城) 対戦相手については現状、こういう相手しか呼べないってことだし、3月の試合では勝てなかったので、ここでしっかり勝ちたいという狙いもあったのかもしれません。

 エルサルバドル戦は、点は入ったけど、相手が1人少ないし、レベルも低く、物足りないというか評価しづらいですね。ペルー戦は、攻撃面でいろいろ試せたし、流れから得点を取れたのはチームにとっては大きかったと思います。2試合を見たファンは、日本代表が強くなったなと思ってしまったんじゃないかな。

――実際にカタールW杯の時や3月の2試合の時よりも強くなったと思いますか?

 いや、自分は強くなったとは思わない。いい形で点が取れたので、選手はきっと気持ちよかったと思うけど、相手のレベルもあるので。

――カタールW杯からの課題である「連携した攻撃」の進化は見られましたか。

 ペルーが前からそれほどプレスをかけて来なかったし、守備も淡泊で日本は簡単に相手のマークやチェックを外せたのもあるけど、3月の試合のようにボールを持ってもノッキングして、うしろに戻す回数が減りました。連携面でもお互いにスペースを空けて、そこを使うという動きが出来ていましたし、前線にいいパスが出ていました。

――攻撃陣のセットで見ると、明確な違いがあって面白かったですね。

 久保(建英)と堂安(律)は、世代別代表でも一緒にプレーしているので呼吸が合っていたし、細かいパスを交換しながら攻撃を組み立てていました。そこに菅原(由勢)が絡んでちょっと遅攻になりながら3人で動いてスペースを作ったり、いい攻撃が出来ていたと思います。

 一方、伊東(純也)はシンプルに縦に行ってクロスを上げる、あるいはチャンスを作る。その破壊力は相変わらずでしたね。ただ、これからW杯予選に入ると、アジアの国は日本に対して引いて戦ってくるので、あそこまで伊東がスペースを見つけてやれるかというと、ちょっと難しいかもしれません。

FWの軸が決まるのは、まだ先かな

――3月のキリンチャレンジカップでは、FWの軸が見えないとのことでしたが、今回はどうでしたか。

 古橋(亨梧)はセルティックで36試合27得点を挙げて高い注目を集めていたし、期待もされていたと思います。実際、1戦目はヘディングでゴールを決めたけど、ペルー戦を見ていると、まだ周囲とは噛み合っていないし、もうひとつ機能していないなという感じですね。

 上田(綺世)も点を取ったけど、くさびのパスが入った時、うまく周囲と連携して崩すというプレーができていません。久保や堂安ともあまり噛み合わなかったので、ちょっと物足りないですね。ただヘディングが強いので、ペルー戦に出場していたら、伊東のクロスに合うのか、そこは見てみたかった。前田(大然)と浅野(拓磨)も出たけど、この4人の中でポストプレーができるのは上田だけ。伸び代はあるけど、FWの軸が決まるのは、まだ先かなと思います。