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「日本代表が強くなったとは思わない」2試合で10得点と攻撃陣は爆発したが…城彰二が指摘する森保ジャパンの“新たな課題”

「日本代表が強くなったとは思わない」2試合で10得点と攻撃陣は爆発したが…城彰二が指摘する森保ジャパンの“新たな課題”

2023/06/23
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古橋はいつもいいところにいるのに、もったいない

――古橋は、クラブの結果を代表にあまり還元できていないのは、なぜなのでしょうか。

 代表は、セルティックのように自分中心のチームじゃないですからね。古橋は動き出しが非常に速く、常に細かく動きながら相手と駆け引きしているので、慣れていないと味方はどのタイミングでパスを出せばいいのか分かりづらいんです。

 鎌田(大地)は古橋を見ていたけど、自由に動いているからもうひとついいタイミングでボールを出せていなかった。古橋は、いつもいいところにいるだけに、すごくもったいないですね。これからFWの軸になっていくためには、ボールのもらい方やタイミングを考え、出し手に自分の動きをもっと理解してもらわないといけない。

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――動きはいいけど、それが噛み合うまでに時間が必要ということですか。

 そうですね。ただ、局面ではいいプレーが多かったし、連携面で良い関係が見られたシーンもありました。三笘(薫)のゴールの際、鎌田がボールを持つとペナルティボックス内に入ろうとして、ちょっと膨らんで縦の動きを見せたんです。その動きに相手サイドバックがつられて、中に寄ったので外の三笘がフリーになった。古橋の相手DFを引っ張る動きで生まれたのが三笘のゴールです。

 あと、前半13分、伊東のクロスに古橋がヘディングで合わせたシーンがあったけど、伊東はよく古橋の動きを見ていました。GKと相手DFの間にアーリークロスを入れ、何度もチャレンジしていました。今後、2人の呼吸が合い、ホットラインが築ければ、相手にはかなり脅威になると思います。

森保一監督 ©JMPA

右サイドバックは菅原がいい、左は…

――今回は前回同様、長友佑都、酒井宏樹が抜け、左右のサイドバックに名乗りを上げるのは誰かという部分も注目が高かったです。

 右サイドバックは、菅原が良かったですね。守備面の不安はあるけど、ボールを前につけられるし、オーバーラップを何度もこなすなど、体力もある。伊東が前にいるから行かないということもなく、伊東が中に入ったら自分が前に出ていくし、久保が前にいる時は縦に行き、インサイドに行きやすいようにプレーするなど、相手を見て動いていた。

 候補には山根(視来)や冨安(健洋)もいるけど、冨安は前に上がっていけるタイプじゃないですからね。現時点では、気が利くサイドバックとして右は、菅原でいいと思います。

――左サイドバックは、どうですか。

 左サイドバックは、かなり微妙ですね。森下(龍矢)は、バンバン前に行きたいタイプだけど、逆に行き過ぎたので三笘が気を使ってインサイドに入るシーンなどもありました。

 伊藤(洋輝)は、三笘が最強だと思っているので、すぐにパスを出して、オーバーラップもあまりしないんですが、W杯の時よりは成長しています。前は左足でボールを受けても下げるシーンが多かったけど、今回はそれほど相手のプレッシャーがなかったせいか、早い段階で三笘にボールを出したり、遠藤(航)にパスを出したり、前に出すパスの本数がかなり増えた印象です。1点目のゴールも素晴らしかった。でも、まだまだこれからって感じですね。