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三苫は総合力が高い、怖い選手に成長している

――三笘は、エースとして2試合ともにスタメン出場でした。カタールW杯の頃や3月の時と比べて、プレー面での成長は見られましたか。

 自信を持ってプレーしていますし、駆け引きが抜群にうまくなったと思います。W杯の頃は、サイドで張ってボールを受けて縦への勝負がほとんどだった。でも、今はインサイドに入ってボールを受けて、縦に行くと見せかけて、中に入っていくようになりました。プレーの幅がだいぶ広がったと思います。

今回の代表戦でも活躍した三笘薫 ©時事通信社

――前は、わりと単独での縦突破が多かったですね。

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 縦一辺倒で単独で仕掛けていくスタイルでしたが、今は周囲を使えるようになってきました。伊東のゴールも三笘がシュートに行けたけど、逆サイドでフリーの伊東を見て、いいパスを出した。

 2点目の自分のゴールは、ドリブルでステップを踏みながら右足でそのままシュートを打ったけど、あれはかなり高度なテクニックです。ゴールを奪う力も付いて来て、総合力が高い、怖い選手に成長しているなと思いました。

攻守において立ち返るべき拠り所をどこにおくか

――今回は、日本と同レベル、あるいは格下ともいえる相手で、W杯で見えたもう1つの課題である守備面での成果が少し見えにくいところがありました。

 そうですね。今回は2試合ともそれほど強度な守備をしなくてもボールが奪える相手だったので、奪ってからショートカウンター気味にいい攻撃ができていたし、遠藤を軸に攻撃から守備への切り替えも良かった。森保さんはボールを持って主導権を握ったサッカーをしていくと言っているので、そのためには前線からの連動した守備が不可欠。

 でも、正直なところ、ボールの取り所が明確ではありません。選手からは、守備に関しての決まり事があまりないという声も聞こえてくるので、そこをどうまとめていくのか。やっぱり攻守において拠り所って必要で、悪い流れになった時に、そこに立ち返ることでまた流れを掴めたりする。強い相手に対して、どこでボールを奪って、どう攻撃を仕掛けていくのか。それをチーム内で統一していくことが今後の課題だと思います。

――それを試す意味で、9月のドイツは格好の相手になりますね。

 大事な親善試合になると思います。守備については、今回の谷口(彰悟)と板倉(滉)の最終ラインのコントロールは良かったので、そこから前の守備で、どこで、どうボールを奪うのか。攻撃では簡単に崩せる相手ではないので、精度を高めていかないと点は取れません。カタールW杯のように相手に合わせるのではなく、自分たちが主導権を握るくらいの気持ちでチャレンジして、「日本代表、変わったな」というところを見せてほしいと思います。

取材・文=佐藤俊