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《追悼》山根明・日本ボクシング連盟前会長(享年84)「週刊文春」記者が山根氏のパンチを食らった日「僕はね、悪いことは助成金の分配以外してないから!」

《追悼》山根明・日本ボクシング連盟前会長(享年84)「週刊文春」記者が山根氏のパンチを食らった日「僕はね、悪いことは助成金の分配以外してないから!」

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「まっすぐ生きとったら、神様がいてますよ」

 連盟幹部としては、海外遠征に飛び回った。

「200回遠征に回った“誇り”と“プライド”ですね」

「俺はいつでも試合会場で“日の丸、ジャパーン!”と言って、誇りを持って生きてきたんや!」

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 AIBA(国際ボクシング協会)の理事にも就任した。

「AIBAの理事には人気と知名度がなければなれない。僕はアジア連盟から推挙されてなった。そういうことも山根明しか知らんことね。選手の判定について揉め事があっても、僕は選手のために命を賭けてるから、笑顔ではやってなかった。だから人気があったんや。国際協会の会長さえも、『山根“サン”』って呼びます」

山根氏のパンチは力強かった

 18年に日本ボクシング連盟の会長を退いた後は、午前中に近所の喫茶店を回っていた。

「朝8時から4軒ぐらい回ってるんですが、僕のファンがね、日本全国から来ます。遠いところで沖縄、東京、静岡、石川県、四国、岐阜、名古屋。『私たちは会長のこと、悪い人なんて思ってません』って。わざわざ、もう幸せですよ。僕はね、悪いことは助成金の分配以外してないから」

「人間ってね、まっすぐ生きとったら、神様がいてますよ」

 不正が認定され、アマチュアボクシング界を追放されてしまった山根氏。だが、「神様」に導かれたのか、その晩年は多くの人に囲まれて幸せそうに過ごしていた。

 自分の気持ちにまっすぐに生きた“無冠の帝王・山根明”に合掌。

《追悼》山根明・日本ボクシング連盟前会長(享年84)「週刊文春」記者が山根氏のパンチを食らった日「僕はね、悪いことは助成金の分配以外してないから!」

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