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コロンビア大卒・国立大准教授の“ガチ物理エリート”はなぜギャルルックでTikTokに降臨したのか「よく言われますが、ギャルが何なのかわかってない(笑)」

コロンビア大卒・国立大准教授の“ガチ物理エリート”はなぜギャルルックでTikTokに降臨したのか「よく言われますが、ギャルが何なのかわかってない(笑)」

天文物理学者BossB氏インタビュー #1

2024/02/24

genre : ライフ, 社会

note

──じゃ、そのスタイルの元はジェニファー・ロペスだったんですね(笑)。SNS向けにあえて、ギャルっぽくしてるのかと思いました。

BossB 特に意味はないです。私は52年間生きてきましたが、常に「今、何をしたいか」を追いかけてきたので。坊主にしたのも、やりたくなって「どうだ、坊主にしてやった!」と、それだけです。

SNSを始めた当時、英語で語るショート動画(本人のTikTokより)

「ひとつひとつのお星様は、生まれて進化し、やがて死んでいきます」

──2003年に、コロンビア大学で天体物理学博士号を取得。著書『宇宙思考』によると、大学院では「銀河の形成と進化の計算」が専門だったそうですね。これはどんな研究ですか?

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BossB まず、スーパーコンピューターで銀河をつくります。銀河構造を数値で計算、シミュレーションするんです。

さまざまな元素分布を示した銀河の様子(本人のTikTokより)

 ひとつひとつのお星様は、生まれて進化し、やがて死んでいきます。星の大きさにもいろいろあって、大きな星は、死ぬときに「超新星爆発」を起こします。

──それは聞いたことがあります。

BossB 星は爆発するとき、自分自身を爆風で周りに吹き飛ばします。そのときのエネルギーは、星の進化を計算すると、数値としてわかるんです。

*画像はイメージです

 で、私の場合は個々の星の一生ではなく、「銀河スケールで爆発的に星が形成されたときにどうなるか」を計算しました。度重なる超新星爆発が起きると、そのエネルギーで、銀河スケールの風がバーンと吹くんですよ。これを「銀河風(ぎんがふう)」といいます。

 その風が大きなトンネルをつくって、かつて星の材料だった炭素や酸素、窒素を含め、放射線やエネルギーが宇宙空間に流れ出るんです。

──すごい壮大な話ですね。

BossB またそこで新しい銀河が形成されるんだけど、私は銀河風を詳しくシミュレーションして、それが次世代の銀河形成と進化に与える影響を計算していました。