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女王ザギトワ「秋田犬狂想曲」 どうしてこんな大騒ぎになったのか?

マサルか、マサルではないか、それは胸の中

2018/04/07
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「まだもらわぬ犬に名前を付けるな」とはロシアに古くから伝わる格言であり……というのはまったくの冗談で私が今勝手にこしらえたものだが、もはや辞書に加えたくなるほどの、日本中を巻き込んでの大騒動である。

 平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワがもらう秋田犬の名付け問題だ。

平昌オリンピックで金メダル ©JMPA

「私もこんな忠実な友だちがほしい」

 ここまでの騒ぎになるとはザギトワ本人も予想していなかっただろう。日本のメディアに事あるごとに犬の名前を問われ、そのたびにトップニュースを飾る。大好きな秋田犬をもらえることは喜ばしい反面、何度も浴びせられる同じ質問に困惑した表情を浮かべることもあり、気の毒ではある。

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©JMPA

 事の始まりは、五輪が閉幕した2月25日、ロシアのフィギュアスケート連盟のホームページに掲載されたザギトワのインタビュー記事だ。新潟で五輪直前合宿を行なっていた際、雑誌で秋田犬の写真を目にしたザギトワが「私もこんな忠実な友だちがほしい」と母に飼いたい旨伝えたところ、「オリンピックでいい滑りができたらね」との返事をもらった。ただそれだけのごく小さな記事である。