文春オンライン

安倍元首相亡き後、「キックバック再開」は誰が決めたのか? 自民党・裏金問題、追及の仕方に感じた“疑問”

2024/03/12
note

 自民党の「裏金」問題に対して、野党やメディアの追及の仕方に疑問を感じることがある。

「安倍派のキックバックはいつ、誰が再開したのか」という点だ。これ、本当に重要だろうか? もう「犯人」はわかっているのに……。

©文藝春秋

 この問題を振り返ると2022年がポイントだ。

ADVERTISEMENT

・4月 キックバック廃止決定。会長だった安倍晋三元首相が指示
・7月 安倍元首相が銃撃され亡くなる
・8月 キックバック復活?

 となる。

いつ、誰が決めたのか?

 注目は8月であることがわかる。いつ、誰がキックバック再開を決めたのか、責任の所在は不明なままだと新聞各紙は報じた。でも本当にそうか? ここで当時の安倍派の状況を思い出そう。

『漂流続く安倍派、決まらぬ新会長 背景に「二重権力構造」、絡む森氏の意向』(朝日新聞デジタル2023年5月17日)

 安倍氏の一周忌を前にしても新しいリーダーが決まらない。背景には「二重権力構造」で意思決定が難しくなっていると。

 二重構造とは、安倍氏亡き後の派閥運営は「塩谷立、下村博文両会長代理を中心に行っている」のに対し、元派閥会長の森喜朗は「5人衆」での集団指導体制を進言していること。5人衆とは森氏が選んだメンバーで、松野博一官房長官、西村康稔経済産業相、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長、高木毅国会対策委員長(※肩書は当時)。

 いきなりポスト安倍を決めると派閥が分裂する恐れがあるので、突出した人物をあえてつくらず、皆で責任をシェアしながら決めていた。

 つまり「安倍派のキックバックはいつ、誰が再開したのか」の犯人は全員なのである。幹部の皆で“なんとなく決めていた”というなら責任の所在は全員にある。「5人衆」+「塩谷・下村両会長代理」+「森喜朗」の政治責任を平等に問えばよい。