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「人間の持つ凶暴性を炙り出したい」「10回も殺されるのは怖かった」若葉竜也、伊勢谷友介共演『ペナルティループ』が東欧15カ国で公開に

2024/03/16

source : 週刊文春CINEMA オンライン オリジナル

genre : エンタメ, 映画

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 異色のタイムループサスペンスとして大きな話題を呼んでいる映画『ペナルティループ』。3月22日の全国公開を前にアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシなど東欧地域15カ国で公開が決定し、この度、俳優の若葉竜也、伊勢谷友介、荒木伸二監督が東京・日本外国特派員協会での記者会見に出席した。

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過去のタイムループ映画を徹底的に研究

 愛する人を殺され、絶望に苦しむ主人公の岩森は、犯人である溝口に復讐することを決意。何度でも復讐できるプログラム=「ペナルティループ」を利用し、自らの手で完璧に復讐を実行するが、朝目覚めると殺したはずの溝口は生きている…。何度殺しても翌朝は来ず、復讐の6月6日を繰り返すというタイムループの異色作が『ペナルティループ』だ。

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 メガホンをとったのは、『人数の町』(2020年)で長編監督デビューを果たした荒木伸二監督。『シークレット・サンシャイン』(07年)で知られるイ・チャンドン監督や『ハッピーアワー』(15年)の濱口竜介監督らの影響を受け、40代で本気でシナリオの勉強に取り組んだという異色の経歴の持ち主である。

左から伊勢谷友介、若葉竜也、荒木伸二監督 ©今井知佑/文藝春秋

 従来のタイムループものとは一線も二線も画す「ペナルティループ」という斬新なアイデアを作品化するにあたり、『恋はデ・ジャブ』(1993年)『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)『ミッション:8ミニッツ』(2011年)といったタイムループ関連の映画を繰り返し視聴し、何分に何が起きるか、分単位で分析したという。「同じものを作るのではなく、そこにないものを作るために徹底的に研究し尽くしたつもりです」と振り返った。

 また、会見では映画監督に至るまでの長い道のりを問われ、「僕は映画監督になることが目的ではなくて、撮りたい映画を撮るのが目的なので、いいアイディアが浮かぶまで待っていたら50歳になっていました」と語り、会場を和ませた。さらに「映画作りに年齢は関係ないと思うので、僕のことは“新しい映画の世代”と呼んでいただきたい」と言葉をつづけた。