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「暴力団でのあだ名は“宝塚”」ケンカ、恐喝、監禁、管理売春…悪いことは何でもやった「日本初の女ヤクザ・西村まこ(57)」の現在地

『「女ヤクザ」とよばれて』より #2

2024/03/24

genre : ライフ, 社会

note

 そして何より、ヤクザの社会も時代とともに変化していきました。いま、ヤクザは、かつての暴力や威力を背景にした「脅し」のシノギから、振り込め詐欺に代表される詐欺など騙しをシノギにしている者もいます。

 私は暴力団排除条例施行後のヤクザ氷河期に再びヤクザの世界に戻りましたが、絶望を覚えました。そこに見たのは昔のファミリーとは異なる別の組織でした。私は、ヤクザはやっても、詐欺師に落ちてまで不良道を歩もうとは思いません。

 このような思いを抱くヤクザは、これから増えるのではないでしょうか。あるいは、ヤクザを続けたくとも、コンプライアンス社会のなかで組が立ち行かなくなるかもしれません。任俠道を求めれば求めるほど食えない時代になっています。そうして行き場をなくした人たちのために、私は五仁會岐阜支局を、同じ志を持つ仲間たちと一緒に立ち上げました。

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「日本初の女ヤクザ」の現在

 不良で荒んだ私を受け入れ、居場所をくれたのは杉野親分と杉野組です。そのヤクザ組織を社会になじめない私たちの居場所として存続させてくれたのは、私の不良人生における郷里ともいえる岐阜県です。今度は私がお返しをすべきときが来たと考えました。

『「女ヤクザ」とよばれて』(清談社Publico)

 私は人が居場所を求めるのは、社会的動物である人間として当然のことと思います。ですから、社会のために働く企業家は会社という社員の居場所をつくります。私たちも、非力ではありますが、裏街道を卒業したい人たちのための居場所づくりができればと考えました。

 本書を読んでくださった方が五仁會岐阜支局、あるいは兵庫県姫路市の五仁會本部の門をたたき、更生への道を進んでくださることを願っております。

「暴力団でのあだ名は“宝塚”」ケンカ、恐喝、監禁、管理売春…悪いことは何でもやった「日本初の女ヤクザ・西村まこ(57)」の現在地

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