昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

‘のん’が語った、「女の子は牙をむく」で伝えたかったこと

アートな土曜日

2018/04/21

 カラフルで混沌として、かわいく楽しげなものに満ちあふれた光景。だれか女の子の脳内を可視化できたとしたら、こんなふうになるのかもしれない。

 会場全体をひとつの個性がみごとに染め上げた。そんな展示を観られるのが、渋谷GALLERY X BY PARCOでの「‘のん’ひとり展 女の子は牙をむく」。

 

「創作あーちすと」の作品が空間を埋めた

 ‘のん’とは、朝ドラ「あまちゃん」で広く知られた能年玲奈が、2年前から使っているアーティスト名。女優として世に出た彼女、もともと特技がギターや絵を描くこと、洋服作りなどという芸術家肌だった。あるときから、自身の創作欲を抑える必要なんてないことに気づき、女優業と並行してみずから「創作あーちすと」を名乗り活動している。

 

 このたび初の個展を開くこととなった彼女は、まずコンセプトを打ち立てた。展名にもとられた「女の子は牙をむく」という言葉だ。展示オープンに合わせて会場に現れた本人がこう話す。

「女の子の内側には無謀なパワーがあふれています。凶暴ともいえるような、はち切れんばかりのエネルギーが。それを表現できたらと思って、いろんなものに牙をむきながら突き進む女の子の姿をテーマにしました」

 

 なるほどたしかに、おもちゃ箱の中に飛び込んだごとく賑やかな会場に身を置いていると、作品が放散する圧力に押しつぶされそうな気分になる。壁面にはぎっしりと、さまざまなタッチを使い分けながら描かれたペインティングが掛かっている。床面にはドレスを着たままひっくり返っている人体や、巨大化したハムスターのオブジェがどんと置かれている。天井からは本人デザインの衣装が吊り下げられた。

 作品の多彩さと物量に圧倒されてしまうのだ。

 
 

 感情の赴くままにものをつくり続けるひとりの人間の、堅固な意思のかたまりがここにある。そうはっきりと感じさせられるのだった。

この記事の画像