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スクープ「ホームランソーセージカード」はこんな人が作っていた!

文春野球コラム ペナントレース2018

 エンゼルスでの大活躍によって、NPB時代の大谷翔平ベースボールカードが高騰しているという報道を見た。特にアメリカでは「トレーディングカード」として市場が形成されているから、そのような価値の高騰が起きる。

 今回は野球カードの話をしたい。一般的な認識では現在、NPBの野球カードというとベースボールマガジン社のものか、カルビーの『プロ野球チップス』に付いているものかどちらかだろう。ところがファイターズファンだけは特権的にもう1種類あるのだ。通称「ホームランカード」。日本ハム製品の「ホームランソーセージ」を買うと、必ず1枚、ファイターズ選手のカードが入っている。とにかくピンポイントなのだ。他球団の選手は絶対にまぎれていない。

※今回、HPを見て知ったが、正式名称は「ホームランシリーズのコレクションカード」。同シリーズの「レアチーズケーキ」でもゲットできる。

40年ぶりに復活した「ホームランカード」

 実は「ホームランソーセージ」は僕のようなオールドファンには懐かしい響きを持った商品だ。1976年、日本ハムから発売された野球カード付ソーセージをよく覚えている。それが2016年、40年ぶりに復活したのだ。僕はGAORA中継を見ていて「ホームランソーセージ賞」のプレゼントを見たとき、ひっくり返りそうになった。すぐにかつて「少年ファイターズ会」(後楽園球場時代、ファイターズはちびっ子ファン獲得に尽力した)会員だった友人らが色めきたった。「大変です、ホームランソーセージです!」「どこに行けば買えるんだ?」「とりあえず今からスーパー行く!」「なかった!」etc。

 そうしたらこれが北海道限定の商品なのだった。僕のまわりの在京ファンはいったんショボーンとなった後、切り替えて札幌ドームへ誰かが観戦に行ったとき、仲間への貴重なみやげとして持ち帰るようになった。現在、非・北海道のファイターズファンは通販でまとめ買いするか、鎌スタ売店で購入するかしている。

 興味深いのは収集しているファンから伝わってくるウワサの数々だ。「開けても開けても玉井大翔」というような、いわゆるダブりの問題がある。もしかして自分の住む札幌市白石区のスーパーには玉井大翔が重点的に納品されているのか。もしかしてお目当ての清水優心は応援大使を務める標茶(しべちゃ)町に行くと出やすかったりするのか。これまで例年の動きを見ると、どうも同じ選手のカードが何バージョンか作られてるようである。一体、何バージョンあるのか。すべての清水優心を集めるには標茶町で網を張って待ってたほうがいいのか。道東にはぜんぜん土地勘がないが、とりあえず向かうべきか。

 そうしたら何たる幸運か、それを確認するツテができた。ベーマガに勤める友人、平澤大輔さんがベースボールカードの部署に異動になり、ある日、「最近、大崎の日本ハム東京支社によくお邪魔するんですよ」と言いだしたのだ。「え、球団じゃなくて本社? 何で?」と尋ねると、実は「ホームランカード」を担当しているという。マジか。ベースボールマガジン社はいわゆるBBMカードだけじゃなく、日本ハムの「ホームランカード」も実制作していたのか。本社の担当さんをぜひ紹介してほしい。

 ベーマガの平澤さんが紹介してくれたのが写真の女性、日本ハム株式会社コミュニケーション戦略本部ブランド・コミュニケーション室の谷川礼さんだ。「ホームランソーセージ」「ホームランカード」はこの人が立ち上げから参加し、現在すべてを切り盛りされている。ちなみに手に持っているのは裁断前の「ホームランカード」だ。こんなつながってる状態では見たことないと思う。僕は見てはいけない気がして、最初とっさに目をそらしてしまった。

日本ハムの担当・谷川礼さんと、BBM平澤大輔さん ©えのきどいちろう

「ホームランソーセージ復活は40年前の商品がヒントになっていると思います。元々のターゲットは野球好きの少年だったんですよ。それがいざフタを開けてみたらぜんぜん違っていて、70%が女性だったんです。年代は10代から50代まで、ちょうど20%ずつ均等です。これは驚きました。ファイターズのファン層が半数、女性っていうことも関係してると思います。普通は野球カードのコレクターって男性のイメージですよね」

 ちなみにBBMカードは8割方男性が買っているという。僕は2016年スタートという時期も関係あるかなぁと思う。ちょうど「カープ女子」「オリ姫」等、野球女子がニュースになったタイミングだ。もしかするとそういう流れと連動しているかもしれない。