昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

梶原 紀章
2018/05/03

2時間で完売! “福浦安打製造所作業着”はなぜ売れたのか

文春野球コラム ペナントレース2018

 2時間で完売。そう聞いて、耳を疑った。

 本当に? グッズ担当には申し訳ないがそれが正直な感想だった。発売2時間で完売したのは「福浦安打製造所作業着」という一風変わった商品。販売価格は9800円(税込)と、野球グッズとしては高めの設定である。グレーとネイビーの2種類をそれぞれ100枚ずつマリーンズオフィシャルグッズショップで販売し、あっという間に売り切れてしまった。

 通算2000本安打を目前にしている千葉ロッテマリーンズの誇る大ベテラン・福浦和也内野手をモチーフとした「福浦安打製造所」グッズ。安打を量産しているプロ25年目の福浦の姿を、設立25年目を迎えた町工場風「安打製造所」に見立て、「おかげさまで四半世紀」というキャッチフレーズをつけて販売をしたのだ。趣旨はとてもユーモアがあり面白く感じるが、はたして9800円という値段もありファンは手が出せるのだろうかと思っていたが、それは消費者心理が理解できていなかった、広報目線しかもたない私の甘さだった。

安打製造所作業着を戸惑いながら着る幕張のレジェンド ©梶原記章

「2000本という大記録が見えてきたことで注目度も高いのかもしれません。分析では長年の福浦ファンが買ってくれている。レプリカユニフォームやタオルなどの定番品はすでに多数持っており、希少性の高いものやネタになる新たな福浦選手グッズが受け入れられたのかと思います」

 念入りな市場分析をしたうえで企画をしたグッズ担当者はそう言って胸を張った。ちなみにこの福浦町工場シリーズはこれまでも展開されている。Tシャツ、タオル、パーカーなどの定番シリーズはもちろん、前掛けといった一風変わったものも展開。この時の成功体験から今回の作業着へと行き着いた。そして5月17日には作業用ヘルメットも限定100個で登場予定。ヘルメットには「ファールボールにご注意ください」とプリントされるなどの遊び心が入っている。

2000本安打に向けてさらなるグッズ展開も

 福浦関連グッズの購入者をカテゴリー別に分析をすると圧倒的に男性が購入。さらに年齢層となると40代から50代がほとんどとなる。福浦が千葉ロッテマリーンズに入団をし、デビューをした当時からのファンが現在、大人買いをしている状態もあるようだ。目新しさ、珍しさゆえに生粋のコアファンの心に今回の企画グッズが刺さったのだ。

「作り手側の狙いとしては、ひたすら技術を追求しコツコツと安打を重ねていく職人福浦選手と町工場の職人をダブらせたイメージです。また商品を購入すると安打製造所後援会の名刺(自分で名前を書き込む)も付いてくるなど、小ネタも入れてファンの心をくすぐれるようにと考えました。本当に福浦安打製造所の社員と見間違ってしまうようなファンの方々が、ZOZOマリンスタジアムに多く見られる光景が実現するのを楽しみにしています」(グッズ担当)

 なお福浦安打製造所作業着は4月28日から色違いで再販し、またもや完売。さらに昨年、販売し、あっという間に完売となっていたFUKU-METERカウンター付きのボブルヘッド人形をファンの方の「再販売をして欲しい」との多数のご要望を受けて2000個限定で再販売を開始。こちらも3日間で売り切れとなるなど幕張の生きるレジェンドである背番号「9」グッズの勢いは止まるところをしらない。今後も大記録が近づくにつれて、その勢いは増し、グッズ展開もさらに広がる。