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市川 いずみ
2018/05/12

ブレイク寸前、“植田海くん”はタイガースの野球を変えるか

文春野球コラム ペナントレース2018

 2018年5月5日。阪神タイガースに新たなヒーローが誕生しました。この日、初めてお立ち台に上がった22歳は、照れくさそうにヒーローインタビューに応じていました。

 植田海。入団4年目の彼が今タイガースの野球を変化させています。

 私が毎日放送のタイガースリポーターを担当した年に入団してきた植田選手。当時はまだ18歳ということもあり、それ以来ずっと“海くん”と呼んでいます。昨年まで2軍で指揮を執っていた掛布雅之SEA(オーナー付シニア・エグゼクティブ・アドバイザー)も「“海くん”のおばあちゃんは俺よりも若いんだよ~。俺はおじいちゃん以上だよ~」と孫のように可愛がっていました。

 そんな海くんは4月29日のカープ戦で2番ショートに座ると、5月10日のジャイアンツ戦まで9戦連続でスタメン出場しました。開幕当初は代走や守備要員としての起用でしたが、着実にスタメン出場機会を増やしているのです。

5日の中日戦で4盗塁を決めた植田海

「大和がどうやって1軍に定着したか」

 2017年、入団3年目に初めて春季キャンプを1軍でスタート。キャンプ後すぐに2軍に合流することになりましたが、初の1軍キャンプでコーチ陣からずっと言われ続けたことがありました。

「大和がどうやって1軍に定着したか考えるように」

 同じ高卒野手の大和選手(現DeNA)を比較対象に話をされたそうです。「大和さんは代走とか守備固めで少しずつ試合にでるようになって、そこから出場機会を増やして1軍に定着していったんで……僕もまずは足とか守備で出られるようにと思いました」。この年は13試合に出場。5安打を放ちプロ初盗塁も決めました。しかし、9月3日の中日戦では失策も記録。「1軍でエラーして今まで感じたことないくらい1球の怖さを味わいました。打球が飛んでくるのが怖いと思いました」。野球の怖さも肌で感じたプロ3年目のシーズンでした。

 その2カ月後、高知県安芸市で懸命にバットを振る海くんの姿がありました。「今まではキャンプでも与えられた課題をこなすのに必死だったんですけど、今年はやってやろうというか絶対に1軍に食い込んでやろうという意識でいます。2018シーズンどうやったら1軍にいられるんだろう、そういうことを考えながら秋季キャンプに臨めています」。顔つきもキリッとしていて、言葉にも力がこもっていました。