東京駅では自動販売機の売り切れが続出し、ネット上で大きな反響を呼んでいる。
サントリー食品インターナショナルグループの自動販売機大手「ジャパンビバレッジ東京」に対して、残業代の支払い(労働基準監督署からも是正勧告を受けている)や組合員に対する不当な懲戒処分の撤回を求めて、労働組合・ブラック企業ユニオンが「順法闘争」を実施したことが原因だった。
前回は、「労働組合が東京駅の自動販売機を空にした日」で4月18日から東京駅で行われたこの「順法闘争」の背景について説明した。
本格的な全日ストライキを予定
この東京駅の自動販売機におけるジャパンビバレッジとユニオン側の駆け引きで、新たな動きがあるという。ユニオンが、今度はゴールデンウィーク中に本格的な全日ストライキを予定しているというのだ。
全日ストライキとは、残業なし・休憩1時間取得の順法闘争どころではなく、丸一日労働しないということである。当然、参加した労働者にその日の給料は出ない。また、売り切れがこれまで以上に続出し、利用者への影響も大きくなる可能性が高い。そこまでして、なぜユニオンはストライキに踏み切るのだろうか。
ユニオンに聞いてみると、以前からの要求である未払い賃金の支払いと組合員の懲戒処分撤回について、会社側が4月27日午前の時点で、依然として認めようとしていないのだという。これだけ社会的な反響があったにもかかわらず、ジャパンビバレッジほどの大手企業が労働法違反を貫くというのは、驚きである。
また、ジャパンビバレッジ側は順法闘争に対しても大掛かりな封じ込め戦略に出てきているという。同社の管理職や他の支店から30名以上をかき集めて東京駅で勤務するための講習を受けさせ、1日あたり7~8人程度が東京駅に追加配備されている。このため、現時点では売り切れはほぼ回避されている。
もともと人手不足で休憩が取れず、未払い残業が常態化していたのだから、増員が定着するのであれば、順法闘争の一つの成果と言える。しかし、残業代未払いと組合員の懲戒処分という労働法違反が解決していない以上、こうした動きは本質的に「組合運動つぶし」とも受け取れる。ユニオンは、この状況を打開し、ジャパンビバレッジの労働法違反を正すためにストライキを敢行するというのだ。