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東京駅の自販機ストライキは、なぜ「共感」を得たのか

この現象は、戦後日本社会の変容なのかもしれない

2018/05/20

 去る5月3日、JR東京駅で自動販売機の補充業務を担当しているサントリーグループの自動販売機オペレーション大手・ジャパンビバレッジ東京の従業員がストライキを実施した。要求は、未払い残業代の支払い、組合員に対する不当な懲戒処分の撤回だ(詳しくは、文春オンラインの記事「本日、JR東京駅の自販機補充スタッフがついにストライキ決行」を参照)。

 ストライキに先行して行われた順法闘争、ストライキの背景、当日の簡単な報告については、すでに以前の記事で紹介しているが、結論から言えば、非常に大きな「共感」が寄せられている。ストライキと言えば、利用者から「迷惑」だと感じられることがほとんど。なぜ今回のストライキはこれほどの反響を得たのだろうか。

 ストライキに対する、東京駅の利用者、インターネット、組合員、そして会社の反応をそれぞれ紹介しながら、ストライキへの支持が広がった背景を考えてみたい。

ストライキの舞台となった東北新幹線ホーム ©iStock.com

途方にくれるカップル、自販機の写真を撮る男性

 まずは5月3日のスト決行日の東京駅の様子を報告しよう。

 東京駅は、JR東日本管内の1日の平均乗車人数では新宿駅、池袋駅につぐ3位(2016年度)だが、JR駅のホーム数では日本一の数を誇っている。その各ホームや、ホーム間をつなぐ通路にすき間なく置かれた膨大な数の自動販売機で、ストライキは決行された。

注意書きの貼られた台車

 自動販売機の補充をしていた組合員たちは、ストライキ通告を確認すると、9時30分きっかりに自動販売機を閉め、業務を停止した。ペットボトルや缶の詰まった段ボールが積み上げられたままの台車は、通行人が接触して怪我をしないように「ストライキ実施中につき、台車を一時、停車します」との注意書きを括りつけたうえで隅に寄せられた。組合員たちは、台車の横に立ち、引き継ぎ要員が来るまで、利用者の安全に気を配った。

 現場を観察していた組合員によれば、すでに2週間以上にわたって「順法闘争」をしていた影響もあり、スト突入前後にはあちこちで「売切」の表示が点灯していたという。ずらっと並んだ「売切」の赤いランプに気づいて自動販売機の前で立ちすくみ、購入をあきらめてしまうカップルや家族連れが多数見受けられた。台車の注意書きについても、物珍しそうに眺める家族連れの父親や、「ストライキだって……」と隣人の肩を叩く若い女性など、反響は様々だった。

 なかには、あらかじめストライキの情報を聞きつけていたらしく、一眼レフのカメラを構えて自販機を撮影する男性や、台車に括り付けられたユニオンの注意書きを撮影して、「応援します!」「飲み物はNewDaysで準備済み」とツイートする人もいた。

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