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毎週土曜夜をひっそりと賑やかしていた『タマフル』とは何だったのか?

『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』鼎談 #1(前編)

2018/06/16

 土曜日の夜をひっそりと賑やかしていたTBSラジオの番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル(通称『タマフル』)』が今年の3月31日、11年の歴史に幕を下ろした。と、思ったらその2日後、間髪入れずに帯番組『アフター6ジャンクション』が始まり、毎週月曜から金曜、夕方6時から夜9時までの3時間、当初は「希釈」されると思われた密度もまったく薄まらず、なにがなんだかよく分からない勢いでタマフルの余韻を急速に掻き消しつつある。

 この鼎談は、そのタマフルが終わる2日前、新番組が始まる4日前という微妙なタイミングに行われた。

 出席したのは、『アフター6ジャンクション』パーソナリティのライムスター宇多丸、新番組へのレギュラー出演も決まっているエッセイストでイラストレーターのしまおまほ、そして引き続きタマフルからそのまま『アフター6ジャンクション』にも参加する構成作家の古川耕。11年続いた番組への惜別の念、そして平日の帯番組が始まるという高揚感と不安感。そして、実はこの3人での取材は初めて……という要素がないまぜとなった結果、ひたすらハイな状態で話を続ける内容に。番組ファンにおくる貴重な記録として、お楽しみください。

(左から)古川耕さん、宇多丸さん、しまおまほさん

◆ ◆ ◆

『タマフル』20年は軽くいくと思ってた

古川 タマフル最終回の放送日に、TBSラジオの新聞広告がドーンと出るみたいですよ。

宇多丸 ほんと? 土曜日?

しまお へえ。

古川 3月31日に全面広告で、ドーン! と。「TBSラジオの聴取率が100期連続1位!」とか、「『ウィークエンド・シャッフル』本日最終回!」みたいな文字が躍っていて。

宇多丸 (大声で)あーあ! ほんとにめんどくせえ!

古川 情緒不安定だね。

しまお 私も新番組でいろいろ取材が来て。「テレビブロス」*のやつとか、今回もそうだし。(*2018年4月9日発売『別冊TV Bros. TBSラジオ全力特集』)

古川 ブロスの別冊では掟ポルシェさんもコラム書いてくれてましたよね。

しまお そうそう。掟さんがすごい面白くて。私はほとんどラジオで言ったような愚痴が文章になってるだけなんですけど。

古川 保守的なラジオリスナー代表として。「タマフル終わるの反対!」っていう。

しまお 掟さんはいつもどおりの感じで最高。同じページに載ると私は損ですね。真面目に書いた自分がバカらしくなるっていう。

古川 でも、しまおさんの「タマフル終わるの? え~」っていう不満って、ラジオリスナーとしてはすごく正しい姿なんだと思いましたよ。ラジオは習慣化するメディアだし。

しまお そうですよね。

 

宇多丸 「ずっとそこにいてほしさ」ね。店に入らないまでも、ずっと店先を通って「あの人ずっといるな」と思って見てたのが、いきなり店が変わっちゃって……みたいな。ありますもんね。

しまお そう。さびしい。

宇多丸 でも、11年ぐらいで終わってよかったですよ。これ、もうちょっと続けてたら……。

しまお ほんと? 私はもっと続くと思ってたのに。

古川 どのくらいですか?

しまお 20年は軽くいくと思ってた。

やっぱ土曜もやっときゃよかったかな?

宇多丸 ていうか、別に続けようと思えば続けられたんですよ、全然。ダメで終われって言われたわけじゃないから。

しまお 「お引っ越しどうですか?」って言われたんだ。

宇多丸 「帯に引っ越しはありですか?」って言われて、「別になしじゃないです」って言った。

古川 オレ、最初は「『タマフル』を残したままっていうのはナシですか?」って聞いたと思う。

しまお 私もそう。月~土でやればいいのにと思った。

宇多丸 まあね。インタビューでもさ、ずっと「いや、(タマフルと新番組は)別に何も変わらないです」って言ってたんだけど、やっぱり最終回目前にして、その翌々日に新番組を始めるとなると、急に「やっぱ土曜もやっときゃよかったかな?」って。

 

古川 急にソワソワしてきて。

宇多丸 後ろ向きな気持ちが湧いてきて。

しまお 新番組、始まるのすぐですもんね。

宇多丸 そう。「打ち合わせ、あと1回ぐらいしておかなくて大丈夫?」とかさ。一時期は打ち合わせ、すごいやってたんだけど、たぶんもう橋P*的に大丈夫っていうことになったのか、もうここから先は打ち合わせないんだよね。(*TBSラジオの橋本吉史プロデューサー)

しまお あとは始まってからいろいろ考えようっていう感じなのかな。

宇多丸 やりながら考えよう、みたいなことなのかもしれないけど。

古川 もっと言うと、すでに手が回ってないところもある。

しまお 何人ぐらい作家さんがいるんですか?

古川 一応メインが僕で、あとサブでもうひとり、補助的な人がふたり。

宇多丸 大丈夫? だってさ、スタッフ顔合わせみたいなのがあるのかと思ったら、そういう機会もなくてさ。

古川 まだ全員揃ってないですもんね。

宇多丸 なんだ、それ。大丈夫? 生放送始まるまではタイミングが合わないっていうことなのね。

古川 そうそう。ただ、ご安心ください。昨日の夜にランスルー*をしました。(*通しのリハーサル)

宇多丸 それってメインパーソナリティが呼ばれるものじゃないの?

しまお そう言えば『タマフル』の最初の時も、ランスルーやろうかって言って、結局やらなかったんですよね。

 

宇多丸 そうそう。僕がランスルー嫌いって言って、やらなかったんだ。それはなんでかというと、ライムスターでTFMでやってた番組*で、最初にランスルーなるものをやらされて、これがビックリするぐらいテンションダダ下がりで。(*2004年から放送されていた『MONDAY MIC CHECK』及び『WANTED!月曜日』のこと。現在は終了)

古川 嫌う人は嫌いますよね。

宇多丸 「聴いてもらってる体でやる」みたいなのがもうアホらしくて。

しまお ああ。やりがいないですよね。

宇多丸 そう。3人とも全然面白くなくて。で、これは何のせいかっていったらランスルーのせいだ! と思って。それ以来、ランスルーって聞くと拒絶反応が出るようになっちゃった。だから『ウィークエンド・シャッフル』はやってない。

しまお 『アフター6ジャンクション』は? 宇多丸さんなしでやったの?

古川 宇多丸さんのランスルー嫌いは知ってたし。だからどっちかというと、アナウンサーさんとかスタッフの確認用としてやりました。