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各紙も首をかしげる、安倍首相“銀座のステーキ屋発言”の謎展開 

安倍政権のオウンゴールをごまかす悪い癖

2018/06/29
note

安倍首相の“ステーキ店発言”とは?

「首相『もう集中審議は勘弁してほしい』言及」(朝日新聞 6月21日)

「予算委 集中審議『勘弁』」(毎日新聞 6月21日)

 安倍首相は20日の夜に銀座のステーキ店で麻生財務相、自民党の二階幹事長、二階派の河村建夫衆院予算委員長らと会食。

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 その席で首相は延長国会について「もう集中審議は勘弁してほしい」と発言したという。

安倍晋三首相 ©文藝春秋

 モリカケ問題で野党の追及を受けるのはもうイヤだ、という意味だ。これもオウンゴールに見えた。

 東京新聞(6月21日)は「ステーキ店でレア発言?」

 おいしい見出し。

 ちなみにこの「もう勘弁して」発言は読売と産経は紙面では報じていなかった。首相の弱気は見せたくない?

またも「あった」ものが「なかった」ことに

 ところが驚いたのはここから。翌日の報道であった。

「『集中審議は勘弁』首相発言は『なかった』」(日刊スポーツ 6月22日)

え、え? 「なかった」?

《この発言を報道陣に紹介した自民党の河村建夫衆院予算委員長が21日、急きょ党本部に報道陣を集め、「勘弁」発言について「そういう言い方は一切なかった」と説明し、前日の発言を撤回。「『予算委員会よろしくね』という感じのあいさつがあった」と述べたが、意味合いの異なる言葉に変わっていた。》(日刊スポーツ 同)

河村建夫衆院予算委員長 ©共同通信社

 一般紙でも確認すると、

「『集中審議勘弁して』首相は発言せず」(産経  6月22日)

 またしてもギョッとする。

 モリカケ問題の特徴の一つは、本来「あった」とされるものが「なかった」という驚きの展開が繰り返されたことだ。文書でも面会の事実でも。