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「不倫」がなくならない原因は人類の脳の仕組みにあった

脳科学者が分析する、人類が「一夫一婦制」に向かない理由

2018/07/30

不倫するカップルをフリーライダーとみなす

 不倫をする男女は、家庭や社会におけるフリーライダーであるとも言えます。家庭を維持するための労力を回避し、恋愛の「おいしいところ」だけを享受しているように、当事者以外からは見えるからです。不倫するカップルをフリーライダーとみなし、激しい攻撃を加えることが共同体の秩序を守るための「正義の行動」だと信じて、人々は不倫カップルを徹底的に叩きのめそうとするのです。

『不倫』より ©文藝春秋

 この「正義の行動」には快楽がともなうという仕組みも、脳には備え付けられています。人々が偏執的なまでにフリーライダーを見つけ出そうとし、見つけるやいなや狂喜乱舞してバッシング祭りが始まるように見えるのは、理由のないことではないのです。冷静に考えれば滑稽であっても、不倫そのものと同様、不倫バッシングもまた、なくなることはないのです。

  近年の脳科学の飛躍的な発展によって解明されてきた、このような「フリーライダーに対する社会的制裁」に果たす脳内物質の役割についても、本書では解説していきます。

 一夫一婦制が広く社会制度の中に組み込まれて以降、不倫が発覚した場合は「姦通罪」が適用され、さまざまな社会的制裁や刑罰が加えられるということがしばしばおこなわれてきました。それは単に「不倫は道徳的ではない」という倫理的な理由だけではなく、もっとドライで冷厳な生物学的メカニズムが働いていたのです。現代社会では、週刊誌やネットメディアが非常に優秀な「不倫検出&排除」のツールとして機能してきたと言えるでしょう。

『不倫』(文春新書)では、不倫、そして結婚という人間同士の結びつきにまつわる謎を最新科学の目で解き明かしていきます。

出典:『不倫』「はじめに」より

不倫 (文春新書)

中野 信子(著)

文藝春秋
2018年7月20日 発売

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