サラリーマンとOLのウッドストック! 摩天楼の麓のグラストンベリー!
そんな風に筆者が勝手に呼び習わして久しい夏フェスが、東京の副都心・新宿西口超高層ビル街で夏の終わりに行われる「新宿三井ビルディング会社対抗のど自慢大会」である。
フジロックでいうならフィールド・オブ・ヘブンにあたる規模
2018年で第44回を迎えたこの催しは、読んで字のごとく55階建ての巨大オフィスビルに入居するテナント企業にのみ出場が許された親睦イベント。
……と聞けば、夏祭りの素人カラオケ大会に毛が生えた程度のものを想像するのもしょうがなかろう。が、頼む、一度でいいから実際にこの催しを目にしてほしい。その予断は心地よいほどに裏切られる。これは、大袈裟ではなく、まさに夏フェスなのだ。
地下1階にあたるオープンエア空間「55HIROBA」に設営されるステージは、フジロックでいうならフィールド・オブ・ヘブンにあたる規模。つまり音響も照明もプロ仕様。それをビルに無関係の一般客も無料で観覧できるのがうれしい。
まずは何がすごいって、会期が3日間というところ。2日間にわたって行われる予選には、各日50組弱が出場。そこから選りすぐられた計20組が決勝に進むのである。
シュレッダーの紙片による過剰な量の紙吹雪
なお、パフォーマンスにからめて自社の宣伝行為をすることは厳禁。さらに、決勝でひとたび3位以内に入った出場者は殿堂入りし、その後5年間は大会に出場することができない。馴れ合いやらマンネリやらを遠ざけ、常に戦いをフレッシュに保ち続けるストイックな仕組みが構築されているのだ。
この大会を特徴づけるのが、出演者たちに対し、ひっきりなしに浴びせかけられる過剰な量の紙吹雪。実はこれ、すべて各テナント企業のオフィスのシュレッダーによって裁断された紙片だというのだから恐れ入る。