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新ストッパー・佐藤優はドラゴンズの救世主となれるか?

文春野球コラム ペナントレース2018

2018/09/06

 悪夢のような逆転負けだった。

 9月4日、ヤクルト戦。強風吹き荒れる神宮球場。9回裏で9対3と6点差リード。誰もが楽勝だと思っていたが、調整明けの田島慎二が大炎上。その後も、祖父江大輔、岩瀬仁紀、福谷浩司、J・ロドリゲスと1イニングで5人の投手をつぎこんだものの、6点差を守りきれずに追いつかれ、延長11回に又吉克樹がサヨナラ3ランホームランをくらってしまった。

 8月19日の巨人戦で、9回に4点リードを守りきれずに逆転サヨナラ負けをくらったときは、大本営・中日スポーツに「いくら最下位でも、これほどの衝撃的敗戦はめったにない」と書かれたのだが、その衝撃を楽々とクリアした感がある。

 これで今シーズンの逆転負けは32度目(9月4日現在)。もちろん12球団ワーストだ。なかでも9回のイニング別失点は12球団でダントツに悪い。もはや「無死満塁はピンチ」以上に「9回に逆転されない気がしない」というのが定番ドラゴンズあるあるになってしまった。最終回の逆転というのは、選手も辛いだろうけど、見る側にとっても本当に辛い。

「ブルペン陣の整備が急務」だなんて、ドラゴンズファンなら全員わかっていること。光明は、ある。背番号25、佐藤優投手だ。

入団3年目の佐藤優 ©時事通信社

火だるまドラゴンズブルペンの救世主

「ドラゴンズは抑え投手に困ることはない」と言われていたのは、もはや過去のこと。投手分業制をいち早く取り入れ、優れた抑え投手が栄光を支え続けてきたドラゴンズだったが、近年は抑えが完全に破綻している。特に今年は田島慎二、鈴木博志、R・マルティネス、佐藤優と4人もの抑え投手が登場した。いやいや、1シーズン1人で十分ですから……。

 そんな中、よくぞ現れてくれたと言いたくなる佐藤優(なんとなく「佐藤」ではなく「佐藤優」と書いてしまう)は今年が入団3年目。187センチの長身から投げ込む150キロを超えるストレートを軸に、スライダー、フォークで勝負する右の本格派だ。長い腕をしならせて球が遅れて出てくる独特のフォームが特徴である。

 東北福祉大時代は通算11勝をマークし、楽天の星野仙一副会長も「福祉大の子(佐藤)は下半身を鍛えたら面白い」と注目していた存在だった。東北福祉大の大塚光二監督の縁で、大先輩の大魔神・佐々木主浩からフォークを教えてもらったこともある。ルーキーイヤーにドラゴンズでは川上憲伸以来となるプロ初登板初先発初勝利を記録したが、昨年は右肩痛で苦しんだ。

 復活を期した今季は長きに渡って二軍生活を送ったものの、7月から8月にかけて11試合連続無失点、12イニングで被安打ゼロを記録。すぐさま火だるま状態のドラゴンズのブルペンでなくてはならない存在になり、セットアッパーの地位を得た。まさに救世主だ。最近はドラゴンズファンの心の支えとさえ感じる。

 8月21日には鈴木博志に代わってクローザーを首脳陣に命じられ、その日の阪神戦は最終回に1点を失って二死満塁の走者を残して降板(試合は勝利)。しかし、23日には同点の9回で登板して三者凡退に退け、サヨナラ勝ちで今シーズン初の勝ち投手になると、24日には鬼門・マツダスタジアムで2点リードの9回を見事に締めくくってプロ初セーブをあげている。

 与四球が多いのが気になるところだが、自分で刈り取ることができるタイプ。評論家の山本昌氏も今年の佐藤優について「力勝負が中心のリリーフ向き」「失点をひきずらないたくましさも、リリーフ投手に必要な能力」と成長に太鼓判を押す。