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「これは半藤先生にとっての“ツイッター”」 時代の雰囲気をとらえた歴史本

『歴史と戦争』(半藤一利 著)――ベストセラー解剖

2018/09/13
『歴史と戦争』半藤一利 著

 半世紀以上、日本の近現代史に関する執筆活動を旺盛に続けている著者。その仕事は質、量ともにすさまじく、すべてを読み通すのはかなりの労力を要する。本書は、著者が信を置く人物の手により、その全著作から印象的な発言を抜粋、幕末から戦後にかけての通史のような目次立てでまとめあげ、思考のエッセンスを端的に示した新書だ。

「半藤先生の愛読者がいつも手元に置き、気軽に先生の仕事を振り返ることができる。そんな本にしたかった。そして同時に、半藤先生のお仕事に興味はあるけれど、膨大な著作のどこから手を出したらいいのかわからない人にとっての入門書にもしたかったんです」(担当編集者の小木田順子さん)

 時代の空気感とのシンクロが、ヒットの一因だ。

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「ある方に『この本は半藤先生にとってのTwitterだね』と言われたんです。メッセージ性が高く文字数の多くない文章は、たしかにTwitterに近い雰囲気があり、それに慣れた人に読みやすいものだったのかもしれません。実際、この本の内容が引用されたツイートが大量にシェアされて、話題になりもしました。著者の意見が、今の読者の共感を誘うものだったということでしょう。いろいろな意味で時代の雰囲気を捉えられた本なのだと思います。今は50代以上の読者が中心ですが、若い方にも、もっと手にとっていただきたいですね」(小木田さん)

2018年3月発売。初版1万5000部。現在8刷9万5000部

歴史と戦争 (幻冬舎新書)

半藤 一利(著)

幻冬舎
2018年3月29日 発売

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「これは半藤先生にとっての“ツイッター”」 時代の雰囲気をとらえた歴史本

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