物心ついてから、必ずトイレで用をたす前に手を洗うようにしています。
子どものころ、中学受験のために電車で塾に通っていたわけですが、お袋に連れられて毎週日曜に四谷大塚の模試を受けた帰り、駅の売店でお菓子を買ってもらうのだけがモチベーションで頑張っていた時期がありました。ベビーブーム世代ですし、とにかく子どもの数がやたらに多かったんですよね。御三家国立は狭き門で、そんな熾烈な受験戦争に我が子を勝ち抜かせようと親は必死だったと思いますが、受験生本人である私はとにかく腹が減っていたのです。
「吊り革につかまった手でお菓子を食べてはいけない」
お菓子を食べる前、お袋にこっぴどく叱られたことがありまして、それは「吊り革につかまった手でお菓子を食べてはいけない」ということでした。いまでも修羅のような形相をしたお袋の顔を鮮明に思い出します。この「誰が触ったか分からない吊り革を握った手は汚い」という印象は鮮烈で、いまでもたまに乗り合わせる通勤電車でも混雑したバスでもあまり吊り革を触ろうとは思いません。
手を、洗わなければならないからです。
時は下り、30年以上経過して45歳のおっさんになったいまでも、私は外出するとこまめに手を洗います。別に潔癖というわけでもないのですが、汚いものは確かに汚い。よく使うスマートフォンもパソコンのキーボードも、二日に一度は除菌ティッシュでごしごしと拭くぐらいには清潔でありたいと思っています。
しかしながら、この世の中は不潔な行動で満ちています。連れションに行くと排出後に手を洗わないで立ち去ろうとする友人。もちろん容赦なく「待った」をかけます。手を洗わないと汚いよ。