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吉田輝星の指名権獲得! 来年の鎌ケ谷は伝説となる

文春野球コラム ペナントレース2018

 大成功! 大戦果! たった今、2018年プロ野球ドラフト会議(「サポーテッドバイ リポビタンD」をいちいち言う)のスカイA中継を消して、机に向かったところだ。いつまでも余韻に浸っていたいが、文春野球の原稿を書かなきゃいけない。締切がシリーズ開幕の前々日、つまりドラフト当日だからもちろんその話題だ。今、20時半の時点でヤフーのトレンドワードが1位「日ハム」、2位「中日」、3位「吉田」である。これはすごい。何か手品でも見ているみたいだ。ファイターズは根尾昂(大阪桐蔭)の指名権を中日に持っていかれたはずなのに。

 順を追って説明しよう。根尾昂は中日、日ハム、巨人、ヤクルトの4球団が競合になった。ハムは去年、清宮幸太郎を引き当てた木田優夫GM補佐が今回も左手でくじを引いた。ガッツポーズしたのは中日・与田剛監督だ。この時点で文春野球ヤクルトチーム監督の長谷川晶一さんと僕は、枕を並べて「うわ、やられたー」と討ち死にである。ちなみに藤原恭大(大阪桐蔭)は3球団競合の末、ロッテに、小園海斗(報徳学園)は4球団競合で広島に決まる。おめでとう。

 で、外れ1位の指名になったのだが、辰己涼介(立命館大)や上茶谷大河(東洋大)に指名が重なるなか、何故かすんなり吉田輝星(金足農業)が単独で獲れてしまう。何かエアポケットみたいな感じだった。日ハムが指名してから他球団の指名がまだ残ってたので、最後まで呼ばれるんじゃないかとヒヤヒヤした。だって吉田君だよ。サムライポーズの、のけぞって校歌の金足農業の、いやそんなことより、伸びのある剛速球で甲子園を沸かせたヒーローだよ。スポーツ紙の1面トップ見出しになるスターだよ。マジか、吉田君獲れた!

※抽選の結果、辰己涼介は楽天、上茶谷大河はDeNAが指名権を獲得した。こちらもおめでとう。

日本ハムがドラフト1位で指名した吉田輝星 ©時事通信社

夢想していた「ドカベンプロ野球編」

 僕はガラガラと窓を開けた。が、近所迷惑になるといけないから小声だ。窓の外は隅田川とスカイツリー。「吉田君獲れた〜!」。言うだけ言って、またガラガラと窓を閉める。これ去年も清宮君でやった。去年もめっちゃ小声だった。

 ところがそれで終わらなかったのだ。1位、吉田輝星(金足農業)、2位、野村佑希(花咲徳栄)、3位、生田目翼(日本通運)、4位、万波中正(横浜高)、5位、柿木蓮(大阪桐蔭)、6位、田宮裕涼(成田高)、7位、福田俊(星槎道都大)、そして初の育成ドラフト1位、海老原一佳(富山GRNサンダーバーズ)。

 僕は今年の甲子園を見て、吉田や根尾や藤原や小園といった選手らがそのままプロ野球に進んで「ドカベンプロ野球編」みたいにならないかなぁと夢想していた。応援仲間とは「パに集まればいい」なんて軽口を言ってた。夢の続きが見たくなったのだ。それが何とファイターズだけでそんな感じになってしまった。興奮で口のなかがカラカラだ。冷蔵庫のお茶を出してゴクゴク飲み干す。ふわぁ〜。こりゃ来年は鎌ケ谷が大変なことになるぞ。

 生田目翼、田宮裕涼、福田俊、海老原一佳も有望な選手である。特に僕は今年、武田久に逢いたくて日本通運の試合を見に行ったから、生田目のストレートには魅力を感じている。久の直伝という変化球もいい。生田目の投球のどこかに武田久のフィーリングがある。だから、まぁドラフトにかかった全員に(分け隔てなく)注目しているのだ。そこにウソはない。

 が、甲子園組の顔ぶれを見てくれ。これを見て正気でいられるだろうか。第100回夏の甲子園決勝で投げ合った吉田輝星と柿木蓮が揃って入団してくる。2人はU18アジア野球選手権でも仲良しぶりが報道されている。「いきなり部屋に入って抱きついてくる。合宿最終日は一緒に寝ました。幼いというか、甘えん坊というか」(柿木コメント。8月30日付東スポ)。それだけでもハヒハヒなのに野村佑希、万波中正と超高校級の打者が2枚入ってくる。ジェームスとマンチュウだ。SNSでは「日ハム、熱闘甲子園見すぎ」「ミーハードラフト最高かよ」等々の書き込みが続く。実にごもっとも!