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第5回:最高の日曜日
ちっとも意識高くない。「最高の日曜日」の過ごし方。

genre : エンタメ, 読書

敵から身を守るためなのか、世間に認めてもらうためなのか。今日も女は、心身ともにさまざまな「甲冑(かっちゅう)」を着たり脱いだり大忙し――。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』で大ブレイクしたジェーン・スーの最新エッセイが連載で登場! 収録作品を発売に先行してお披露目します。あなたが知らない間に着ているのは、どんな甲冑?

女の甲冑、着たり脱いだり毎日が戦なり。

ジェーン・スー(著)

文藝春秋
2016年5月28日 発売

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 日曜日午前11時半。待ちに待った至福の時間。私はパジャマ代わりの二軍落ちしたTシャツと短パン姿のまま、布団の中でまるくなっています。正直な話、朝活とか夕活なんて新しい言葉で、これ以上私の生活を煽らないでほしい。私たちは皆、とかく忙しいんだから。

 まぁ、忙しいからこそ平日の朝や夜や休日を有効利用せよということなんだろうけど、それじゃあいったいいつダラダラするの? 周回遅れだろうがなんだろうが、言ってやりますよ。いまでしょ!!!

 日曜日はのんびり一日を始めたい。どれくらいのんびりかと申しますと、午前中はほぼヒャクパー、布団の中です。たとえ夕方「あー! 休みなのになんにもしなかった!」と大きく後悔することになろうとも、罪悪感に苛まれるまで寝床に居座るのが流儀。だって、休みだもの。

 そりゃあ8時に起きて洗濯物をすべて片付け、床の拭き掃除なんかもしちゃって、ストレッチのあと自家製スムージーを飲んだら自分のことをもっと好きになれると思います。午後3時にはやるべきことがすべて終わっているような休日は、有意義なことこの上ない。そんなのわかってる。しかし、自分のことをあやうく嫌いになりそうになる日も必要なんですよ、たまには。

 誰にともなく言い訳をしながら、私はベッドの上でスマホをいじり始めます。フェイスブックには朝から山登りにいそしむ友人の笑顔。おお、山は美しい。ブー。ここで私はおならをします。有意義に午前中を使っている友人知人への抗議でもやっかみでもなく、自然現象として。

 昼の12時。グループLINEに目を通します。子どものいる友人は、本日二度目の食事にありついているではないか。しかも午前中から外出してる。みんな偉いなぁ~と、私は大きなため息を吐きます。私はと言えば、まだ寝室の遮光カーテンさえ開けていません。下手したらこのまま西日を拝まず夜になってしまいそう。

 午後1時。のっそり起きる。寝過ぎて腰が痛い。お腹も減っているけれど、なにか作る気力もない。とりあえず、その辺にあった無印良品のスティック干しいもを口に放り込む。エリカ・アンギャルが見たら卒倒するだろうな。テレビをつけます。「やって!TRY」はいつだって、若いお嬢さんを小ばかにするような企画ばかりやっている。プンスカ腹を立て、2リットルのペットボトルに直接口をつけて水を飲む。ゴボゴボと不敵な音が部屋に響く。

 午後2時。そろそろお風呂に入ろうか……と思いながら、スティック干しいも片手にベッドへ戻り、ドスーンと前に倒れこむ。私以外の他人がベッドの上でなにかを食べたら激怒するけれど、私はいいのです。なぜならここは私の城だから。Tシャツの端っこで指を拭きツイッターのタイムラインを辿ります。今日も代々木公園ではどこかしらの国のフェスが開催されているようです。いつの間にか寝落ちする。タイフェスでパクチーのいっぱい入ったカレーを食べる夢を見る。

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