おそらく今、この記事に辿り着いた人の多くは、スマホからアクセスしているのではないだろうか。
今年5月に総務省が発表した統計によると、2017年、個人がインターネットを利用する機器はスマホが54・2%と初めてパソコン(48・7%)を追い抜いた。ニュースもゲームもSNSも何でもかんでもスマホで見る時代である。この“スマホ偏重”の流れは、今後どんどん加速していくことは間違いない。そして、これに伴って携帯の通信費はうなぎのぼりに上がり続けており、家計を圧迫している。
そんな中、一歩踏み込んだ発言をしたのが、菅義偉・内閣官房長官(69)だ。8月、北海道で行われた講演会で、次のように述べたのだ。
「大手の携帯電話(通信)料金は、今よりも4割程度下げる余地があると思っています」
この発言は、大きな波紋を呼んだ。
「政府が民間の料金に口出しするのはおかしいのではないか」
一部ではこのような批判があがり、当初は“当事者”であるNTTドコモ・吉澤和弘社長も、不満げにこう語っていた。
「日本やドコモの料金が著しく高いとは、私は思っていない」
ところが一転、10月31日の決算説明会で、吉澤社長は来年春以降の携帯サービス料金を「2~4割値下げする」と発表したのだ。
一体なぜ、吉澤社長は“豹変”したのか?
鍵を握るのは、やはり菅官房長官だ。
「政府は民間の競争に介入すべきではありませんが、健全な競争が行われていなければその環境を整えることは政府の役割です」
私たちの取材にこう語った菅長官は、携帯市場が「競争のない3社の寡占状態にある」と述べた上で、3社の利益率の高さを指摘した。
「2017年度でいえば、NTTドコモが21・4%、KDDIが18・8%、ソフトバンクが21・1%。大企業の利益率の平均は約6%。それを踏まえれば、携帯大手3社が軒並み20%前後の利益率というのはあまりにも高い数字です」
さらに、菅氏はある驚くべきデータを提示した。大手3社が支払っているあまりに“格安”な「公共の電波の使用料」の実態である。しかも、その使用料はここ数年さらに“値下げ”されていたのだ。
「この4年間でNTTドコモが244億円から168億円に、KDDIが168億円から114億円に、ソフトバンクは195億円から150億円に下がっています。電波はいわば『国民の財産』です。このように諸外国と比べても格安で電波を用いている企業が過度な利益に走るのは不健全なのです」
携帯大手3社がユーザーに知られたくない“不都合な真実”はこれだけではない。
菅長官が明かした驚愕のデータ、そして「携帯電話料金値下げプラン」の全貌は、『文藝春秋』12月号「携帯通信通話料金は絶対に四割下げる」に掲載されている。