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“平成最後の怪物” 堂安律は一体何がすごいのか?

2018/11/16

 堂安律は、「平成最後の怪物」になるだろうか――。

 森保一日本代表監督のスタートとなった9月のコスタリカ戦で代表デビューを果たすと、アッという間に代表の右MFのポジションを確保し、10月のパラグアイ戦では代表初ゴールを決めた。11月の2連戦にも招集され、今や中島翔哉、南野拓実とともに日本の攻撃の中軸になりつつある。所属クラブのオランダ1部リーグのFCフローニンゲンでもリーグ戦12試合で3ゴールを挙げ、欠かせない存在になっている。

今年のキリンカップで日本代表デビューを果たした堂安 ©文藝春秋

本物のスターになるために必要なこと

 クラブのエースであり、日本代表でも指定席を確保しつつあるが、人気選手が本物のスター選手になっていくには、いくつか必要な要素がある。

 一時代を築いた中田英寿、中村俊輔、本田圭佑に共通していたのは、質の高いプレーと結果で築き上げられたカリスマ性だ。

 中田はペルージャから成り上がり、ASローマでは2001年、ユベントス戦で2ゴールを挙げ、スクデット獲得に貢献した。中村はセルティックで2005年から3年連続優勝に貢献し、2006年チャンピオンズリーグ、マンチェスターユナイテッド戦でのFKは今や伝説になっている。本田は、2010年南アフリカW杯のカメルーン戦で決勝ゴールを挙げ、一気にブレイクした。2013年にCSKAモスクワからACミランに移籍し、10番を背負った。彼らは、誰かのコピーではなく、自分だけのカリスマ性を育んで輝く選手になった。だが、彼らの本当の凄さは、そのカリスマ性を何年も継続したことだ。

 堂安は、カリスマ性で言えば、スターの萌芽が膨らんできたところだ。

 鋭いドリブル、左足の強烈なシュートを持ち、時折見せる的確なスルーパスは非常に質が高い。卓越した技術に加え、いり乱れる選手の位置を把握し、わずかなスペースを見つける能力も高い。立体的に認識しているので絶妙のパスを出したり、スペースを見つけて自ら仕掛け、決定的なシーンを作ることができるのだ。そうした視野の広さは簡単の身に付くものではないが、堂安はボールを蹴るのと同じように身に付けている。

©文藝春秋

“伸び代”に期待できる

 日本代表GK東口順昭は「狭いスペースを見つけて、そこいくかというシーンでいく。仕掛けた後もシュートを振り抜く。Jリーグには振り抜く選手が少ない。律は遠くからも狙ってくるんでGKにとっては非常に嫌な選手です」と語る。

 ただ、所属先のフローニンゲンはビックラブではなく、オランダは欧州4大リーグのスペイン、イングランド、ドイツ、イタリアから少しレベルが落ちる。まだ、欧州で2年目で何かを達成したこともなく、実績で言えば、まだこれからだ。

 それでも「平成最後の怪物」と称され、期待されているのは、ベースとなる能力が高く、歴代のスター選手のいいところをすべて兼ね備え、飛躍の可能性が一番に感じられるからだ。いわゆる“伸び代”というやつだ。