昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

カルロス・ゴーンが墜ちた 欧米セレブ経営者「金銭感覚」の罠

原因の一つと考えられるのは、日本の経営者の年俸の低さだ

2018/11/20

 日産自動車のカルロス・ゴーン会長が逮捕された。過去5年にわたり、有価証券報告書に自らの報酬を50億円近く過少に記載していたという容疑だ。さらには会社の資金を私的に使っていたという疑いもある。日産が内部告発を受けて社内調査し、東京地検特捜部に通報して“逮捕劇”に至った経緯を見ると、十分な証拠がありそうだ。

 それにしても「10億円近い年俸をもらい続けていたカルロス・ゴーンが、なぜこんなことを……」と思う(実際には、その倍以上を得ていたわけだが)。カリスマが堕ちた理由を考えてみる。

「豪腕経営者」「コストカッター」など、さまざまな異名を持つゴーン氏 ©文藝春秋

「社内調査の結果、3点の不正行為が確認されました」

 昨夜10時、横浜市にある日産グローバル本社で、西川廣人社長が記者会見を開いた。冒頭で西川社長はこう説明した。

「カルロス・ゴーン、(代表取締役の)グレッグ・ケリーの2名につき、内部告発を受けた社内調査の結果、3点の不正行為が確認されました。

(1)報酬金額を有価証券報告書に過小に記載していた

(2)目的を偽って私的に会社の投資資金を使っていた

(3)目的を偽って経費を不正使用していた

 これらの事案について専門家にも意見を求めたところ『十分解任に値する不正行為である』と認定されたため、木曜日に緊急の取締役会を開き、代表権を剥奪、会長の任を解くことにしました」

 日産はその数時間前、こんなプレスリリースを出している。

〈カルロス・ゴーンについては、当社の資金を私的に支出するなどの複数の重大な不正行為が認められ、グレッグ・ケリーがそれらに深く関与していることも判明しております〉

会見する西川社長 ©AFLO

周到な準備の上での逮捕に見える

 地検も逮捕の経緯を発表している。

「ゴーン容疑者は2011年3月期から15年3月期までの報酬が実際には約99億9800万円だったのに対し、有価証券報告書に約49億8700万円と虚偽を記載した疑いがある」

 ゴーン氏は19日の夕方、羽田空港に到着し、その場で地検に任意同行を求められた模様だ。

 各方面からの矢継ぎ早の発表。空港で待ち構えていた地検と朝日新聞。捜査はかなり前から進んでおり、周到な準備の上での逮捕に見える。