1000作品以上集めてわかった「マンションポエム」に隠された“ワナ”

大山 顕 大山 顕
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資源として選択する街

 今日のマンション、特に内装や設備は高度に工業部材化されていて、どの価格帯のものでも、それほどの違いはない。同じ3LDKで、津田沼の3500万円の物件と港区に建つ1億円超のものとの価格差は、ハードウェアでは説明がつかない。この7000万の違いは何か。それはもちろん「立地」だ。だからマンションポエムは「土地の詩」になる。

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 住宅選びは、場所選びであり、それは自分の収入と相談しつつ、通勤利便性、環境、そして自分の価値観との適合性(と思われるもの)をパラメーターとして落としどころを探る。街は、ある性質と機能をもった資源として選択するものになっているというわけだ。

居住地=属性として問う「どこ住み?」

 その結果、ぼくらはなんとなく「その人がどういう人かは、どこに住んでいるかである程度判断できる」と思っている。「どこ住み?」という、あたかも居住地を属性として問う言い方にもそれが表れている。たしかに、高円寺に住んでいる、といわれれば「ああ、そっち系の人ね」と思ってしまうし、世田谷に住んでいる人と、津田沼に住んでいる人の間に何かの差を感じたりする。東京建物「ブリリア外苑出羽坂」は「東京都心に住む。それは選ぶ地に自身の姿が投影されるということ」と謳った。マンションポエム自身がマンションポエムとは何であるかを語っている例である。

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 ぼくらの「街像」を敏感にすくいとって増幅させて謳い上げるのがマンションポエムだ。つまりこれは都市論なのだ。(初出「アットホーム」ウェブサイト)