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「東大卒エリート」の存在感は、なぜここまで薄くなったのか

2019年の論点100

2019/01/18
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いまの東大生が考える将来像とは

 こうした先輩官僚たちを見て、いまの東京大生は将来像をどう考えているか。2018年の東京大の学部卒業生について、(1)中央省庁別進路、(2)民間企業への進路を見てみよう(「東京大学新聞」18年7月3日、カッコ内は17年)。

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(1)中央省庁別進路

 国土交通省16(16)、総務省14(15)、経済産業省14(13)、警察庁13(13)、外務省12(9)、財務省11(17)、厚生労働省9(10)他。

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 例年どおり、国家公務員採用総合職試験の上位合格者は財務省へ進むが、最近は、経済産業省、警察庁の人気が高く俊才が集まっている。安倍政権の政策ブレーンであり森友学園問題で暗躍したと言われる今井尚哉首相秘書官(経産省〈通産省〉82年入省)。前川喜平元文科省事務次官の周辺調査に関わったと報じられた北村滋内閣情報官(警察庁80年入庁)。さしずめ安倍教室の生徒会長、副会長であろう2人の出身省庁に、東京大生は熱い視線を送っている。偶然だろうか。

 だがこんな「東大卒エリート」を再生産して良いわけがない。エリートを再教育しなければならないだろう。

(2)民間企業への進路

 三菱UFJ銀行21(28)、アクセンチュア20(5)、三井住友銀行17(22)、みずほフィナンシャルグループ16(24)、三菱商事15(11)、三井住友信託銀行14(14)、野村総研11(3)、マッキンゼー・アンド・カンパニー11(5)他。

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 ここ数年大手金融機関に強かったが、前年の上位企業は軒並み減らしている。その分一気に増えたのが外資系企業で、コンサルタント会社のアクセンチュアとマッキンゼー・アンド・カンパニー。証券会社ではゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレーMUFG証券などの人気が高い。帰国生、留学経験者など英語の堪能な東京大生が増えたからだろう。