12月に入り、文在寅大統領の支持率が固定支持率の50%を割った。12月21日の調査(韓国ギャラップ)では否定評価(46%)が肯定評価(45%)を上回る“デッドクロス現象”が初めて起きるなど、迷走し始めている。
目を引くのは、20代男性の“文離れ”だ。
同じ20代でも男女別の支持率に20ポイントほどの開き
就任当初、2017年6月の文大統領の支持率は80%を超え、今年4月の第一回南北首脳会談時にも77%あった支持率は経済問題などでゆっくりと下降し始め、12月は50%割れが続いている。
韓国ギャラップ関係者はこう話す。
「文大統領の支持率が下落したのは、既存の支持層(進歩派が多いとされる地域、40代以下、進歩派)が崩壊したのではなく、就任と同時に期待を持った層の評価が崩壊したためとみられています。
なかでも注目されるのは、20代の文大統領離れです。ただし、これも20代とひとくくりにはできません、同じ20代でも男女別の支持率に20ポイントほどの開き(20代男性49%、20代女性71%、いずれも11月基準)があります。20代男性からの支持率が下落した背景は複合的ですが、北朝鮮への政府の態度、ジェンダーギャップにおける政府の見解、そして、良心的兵役拒否への認識が主な要因として挙げられます」
23歳男性がYoutube保守派チャンネルの熱狂的ファンになった理由
そういえば、進歩寄りを自負する知り合いは、23歳の息子が現政権を酷く嫌っていて、最近では発信の場をYouTubeに置く保守派チャンネルの熱狂的なファンだとこぼしていたことを思い出した。
彼の場合も、現政権の北朝鮮へのおもねりが目に余るという理由から保守派を支持し始めたといい、その周りにいる友人らに話を聞いてみると、「イニシアチブを北朝鮮にとられすぎている。おじや兄をも殺害するという人権問題についてはひと言も触れない」「南北首脳会談の時に父親のような世代の文大統領が金正恩労働党委員長と抱き合うシーンを見て、ともかく言葉にできない違和感を覚えた」という返事が返ってきた。
韓国ギャラップが行った第1回南北首脳会談後の調査(5月)では、すべての年代で金正恩労働党委員長に対して好感を持っていると答えた人は31%、持たないという人55%だったが、20代男性は好感を持つが最低(10%)で、持たないと答えた人が圧倒的に多かった(77%)。これは、保守寄りの高齢者男性(好感を持つ36%持たない52%)よりも高い傾向だ。20代男性は、昨年9月の調査でも、北朝鮮が核・ミサイル実験を継続した場合は米国の先制攻撃に賛成(51%)が反対(44%)を上回った唯一の世代だった。