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「一番トクしたなと思うのは、不器量だったこと」――樹木希林が遺した生き方のエッセンス

『一切なりゆき~樹木希林のことば~』より

2019/01/16

 昨年9月に亡くなった樹木希林さん。全身をがんで蝕まれながらも、それを感じさせない自然体な生き方が共感を呼んだ。

 そして、平成を代表する名女優は、対談の語り部としても一流だった。樹木希林さんの珠玉のメッセージをまとめた『一切なりゆき~樹木希林のことば~』から、ユーモラスで味わい深い発言を厳選して紹介する。

©文藝春秋

私の下着はみんな前が開いてるの(笑)

 この何年か、ものを買ってない。買うのは靴下だけ。友達の旦那が亡くなる年なのよ。「主人のラクダの股引とか、パイルのステテコとか、使ってないものがあるんだけど」って言うから、「私にください」って。下着はゆるゆるのがいいの。だから私の下着はみんな前が開いてるの(笑)。

(どこかで倒れて脱がされたら?)気にしたことないですね。恥ずかしいなんて年齢ではないから。自分勝手がいちばんいいんじゃない?

(「マリコのゲストコレクション」2016年5月)

©文藝春秋

人生なんて自分の思い描いた通りにならなくて当たり前

 人生なんて自分の思い描いた通りにならなくて当たり前。私自身は、人生を嘆いたり、幸せについておおげさに考えることもないんです。いつも「人生、上出来だわ」と思っていて、物事がうまくいかないときは「自分が未熟だったのよ」でおしまい。

 こんなはずでは……というのは、自分が目指していたもの、思い描いていた幸せとは違うから生まれる感情ですよね。でも、その目標が、自分が本当に望んでいるものなのか。他の人の価値観だったり、誰かの人生と比べてただうらやんでいるだけなのではないか。一度、自分を見つめ直してみるといいかもしれませんね。

 お金や地位や名声もなくて、傍(はた)からは地味でつまらない人生に見えたとしても、本人が本当に好きなことができていて「ああ、幸せだなあ」と思っていれば、その人の人生はキラキラ輝いていますよ。

(「『こんなはずじゃなかった』それでこそ人生です。」2016年6月)