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引退した吉田沙保里さんに「結婚して幸せになってほしい」と言えちゃう人の考え方

「女の幸せ」とはなんでしょう

2019/01/19
note

宮根アナの一言はなぜ批判されなかったのか?

「結婚したら絶対いい奥さんになるよ~」

 個人的にはRIKACOよりこっちの方がひどいと思ったのですが、なぜかそんな批判はされなかった。おそらくそれって「褒めてる」からなんでしょう。「結婚したらいい奥さんになる」というのが、未だ褒め言葉として流通してる。子持ちのRIKACOが未婚子なし女性の幸せを「結婚」「子ども」に限定することは非難されても、宮根のような「ザ・おじさん」による「いい奥さんになる」は感覚として許容されるというのが、日本のテレビ、略して日テレの現状です。

 しかしです。もしかしたらこんなこと言ってる私の方がよっぽど吉田沙保里をダウンサイジングしてるのかもしれない……と思わされたのが、当の本人の引退会見でのお話。

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「レスリング一筋でここまできたので、レスリング以外のこともまたやっていきたいなという思いはすごい強いですし、やっぱり女性としての幸せというのは絶対につかみたいなという風に思ってますので」

 この人の本当の凄さ。それは一般人が逆立ちしても叶わない才能を努力で磨き、偉大すぎる実績を残した一方で、世間の「きっと女性としての幸せを求めているに違いない」という欲望にも目配せしている。さらに自然体でそれをやってのけること。私は何もわかっちゃいない。角川博の『女のシリーズ』聴いて出直しますわ。

「やっぱり女性としての幸せというのは絶対につかみたいな」 ©文藝春秋
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