「歯の駆け込み寺」として知られ、世界水準で最短1日で歯周病を治すPERIOD.の考案者でもある、東京国際クリニック歯科院長の清水智幸さん。かつてシニアの病気と思われていた歯周病は、近年10代から40代まで広く増えており、45歳以上の「歯を失う原因」の第1位は歯周病だという。初の一般書『歯周病は1日で治せる!』を上梓したスーパードクターが語る〈新しい歯の常識〉とは?

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10代から40代の歯周病が増えている

――ビジネスパーソンに多い歯のトラブルにはどんなものがありますか?

清水 当院は「歯の駆け込み寺」のような存在で、さまざまな歯科を渡り歩いてこられた重症患者さんが多いので一概には言えないのですが、働き盛りの各年代において、歯周病や虫歯に悩まれている方が非常に多く見受けられます。統計的に見てもここ十数年で、10代から40代の歯周病が増えているのは事実です。それにともない、働き盛りの世代に関していうと、口臭の悩みを相談される方も多くいます。

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自覚しにくい自分の口臭

――職場での口臭は多くの人が気になっていると思います。でも気づいていないのは本人だけで、かといって周りも指摘しづらいですよね。

清水 たしかに、口臭はご自身の自覚は乏しく、ご家族から指摘されて相談しに来られる方のほうが多いんです。口臭には生理的口臭と病的口臭の2種類があります。夜間に唾液が少なくなると口の中が乾燥してきて、朝方はやや口臭が強くなる――これは生理的な現象ですから、さほど気にする必要はありません。朝起きて歯磨きをして、口の中の湿潤状態が上がれば自然と匂いも和らぎます。唾液には口の中を綺麗に洗ってくれる自浄作用もありますから。寝る前に舌のブラッシングをすると、翌朝の口臭軽減に大きな効果があります。

東京国際クリニック歯科院長の清水智幸さん ©釜谷洋史/文藝春秋

清水 ところが病的口臭、歯周病によるものは歯科医による適切な治療が必要です。歯周病とは、プラーク(歯垢)に潜む歯周病菌によって、歯ぐきに炎症が起きる病気です。歯垢1mgの中には1億から10億もの細菌が存在すると言われていますが、そんな細菌が繁殖した集合体プラークがぬめりのように歯に付着し、匂いの原因となるのです。歯周病が進行すると、膿んだ歯ぐきから、それこそ生ゴミのような匂いがします。