昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

人気作家がみつけた京都・癒しの散歩道
「そうだ 京都、居たんだ」

関東が舞台の『まひるまの星』が京都で生まれたワケ

 2004年に作家デビューして以来、「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズが累計50万部を超えた人気作家の吉永南央さん。最新作『まひるまの星』は1年前に引っ越したという京都・岡崎の地で執筆された。

「作品の舞台は、北関東のとある町なんですが、主人公のおばあさんが営むのは『珈琲豆と和食器の店』。仕入れや品物について京都も登場しますし、今回描いた町の大きなお祭り、関わる人たちの様子は京都のお祭りにも共通するものを感じます。祇園祭では、まだ準備中なのに『屏風見て行って』なんてお家に招き入れていただいたり、解体作業が見られたりしたのが興味深かった。

京都の人って、余所者をなかなか受け入れてくれないなんて言われますよね。でも住んでみて感じるのは、みなさん親切だし、人間に余裕がある感じ。先日も八百屋の店先で『そのレンコンじゃなくて、こっちにしとき』って、知らない女性にいきなり声をかけられて、1番いいレンコンを私に差し出して『おばちゃんはこっちの2番目のでええわ』って(笑)。観光で来たときとは違う魅力を日々感じています」

●おいしい朝食が500円くらいで楽しめる!

美人の誉れ高い吉永南央さん、京おんなに進化中。

 日常の家事や仕事をあわただしくこなしつつ、一歩外に出ると「そうだ、京都に居たんだ」と新鮮な気持ちになるという吉永さん。

 夏は朝5時台から、冬は起きた時間によって毎日、家の近所を1時間近く散歩する。うらの岡崎公園、橋の近くの近代美術館、動物園に南禅寺、哲学の道、足を伸ばして法然院まで行くこともあるという。

 12月のある日、吉永さんの京都・左京区散歩に随行、普段着の京都を味わわせてもらうことにした。待ち合わせは岡崎・平安神宮に隣接するロームシアター京都内の「京都モダンテラス」。近年この施設と公園が整備され、明るく開放的な場所に生まれ変わったエリアだという。「朝ごはんが500円くらいでおいしくいただけるので、たまに来ます。時々前の公園でイベントも催されていて、眺めながら気持ちよい時間が過ごせるんですよ」

●図書館、美術館は穴場的スポット

 一息ついたあとは、いよいよお散歩開始。

 二条通を渡ったところにある岡崎公園交番もすでに風情がある(ように見える)。

交番にただよう都の雰囲気。

「ここは、婦警さんが多いという噂。痴漢が多くて、被害届をだすのに抵抗がないようにしてるという話ですけど(笑)」

 観光地の意外なあるある情報に納得していると、その先には京都府立図書館。前面のレトロな建物と正面に掲げたプレートの文字も風情あり。前庭の吹き抜け構造をのぞきこめば、閲覧室で勉強に励む人たちの姿が。こんな図書館に通うのは楽しそうだ。

こんな図書館なら調べものが優雅にできそう。

 図書館の目の前には、鮮やかな朱色の大鳥居。空高くそびえたつ雄姿に見惚れていると、「大鳥居がすぐ目の前に見えるいいところにご案内します」と、吉永さんは目の前の国立近代美術館にスタスタと入っていく。受付の前を通り過ぎエレベーターで4階へ……なんと、大鳥居の最上部が窓いっぱいに迫っていた。

 背景の山並みと同じ高さで朱色が映えている。ここ国立近代美術館は、1階にも大きく窓をとって外の桜並木を目の前にみる広いエリアがある。椅子が一列外に向けて並べられてあり、自然の美しさを愛でながらのんびり、気持ちの良い時間を過ごせる(無料で)。

冬の寒空に映える大鳥居。その向こうには東山が連なる。