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「いいとも!」の前説でタモリさんに一度だけ褒められた理由――岩井ジョニ男の生き方

『幻の哀愁おじさん』岩井ジョニ男インタビュー #1

2019/06/16

genre : エンタメ, 芸能

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 リアルなのか虚構なのか。令和の時代にやってきた三揃スーツに七三ちょび髭の昭和風サラリーマン。浅井企画所属のコンビ「イワイガワ」の“おじさん”担当・岩井ジョニ男。新橋・上野・新宿・五反田などサラリーマンの聖地に出没しては、歩いてはしゃいで飲んで黄昏て……人気インスタを一冊にまとめたフォトエッセー 『幻の哀愁おじさん』(文藝春秋)が話題になっている。業界では「ネクストブレイク」とささやかれ続けていた岩井ジョニ男。いよいよ時代がジョニ男に追いつくのか。

 

◆◆◆

「インスタってなんですか?」

——ジョニ男さんがインスタを始められたのは2018年5月。インスタグラマーの中ではかなり後発なのに、本を出されるまでの圧倒的人気……。今日はその「戦略」についてお伺いしたいと。

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ジョニ男 これはですね、まさに戦略。

——戦略。

ジョニ男 戦略、ありますね。ただ……僕の戦略じゃないんですけど。

——人の戦略。

ジョニ男 はい。いやもちろん僕だからこうなったんだなという気もなくはないですけど。仕事で出会った人に誘われたんですよ、インスタを。それまでSNSは一切やったことがなくて。ブログもTwitterもです。当時はそれをギャグににして「フェイスブックスやってるの?」とか。

——フェイスブックス(笑)。

 

ジョニ男 「いや、Sいらないんですよ」とか。全くわからなかったんですよ、そのシステムが。そもそも発したいメッセージなんて何もないですしね。なんか思ったことをネタ帳には書いてはいましたけど。「あそこのスーパーのニラのが安い」「ティッシュは○○薬局の方が安い」とかは。

——生活者目線の。

ジョニ男 そう。だけどある日ファッション雑誌のモデルみたいなことをやって、そのスタッフさんと飲みに行ったんです。それで「ジョニ男さんインスタやってるんですか」って聞かれまして。「やってないです」「インスタントラーメンは食べてますけど」。

——(笑)

ジョニ男 「インスタやりましょうよ」「インスタってなんですか?」「写真撮って載せるんですよ。ジョニ男さんだったらやっぱりおじさんとか昭和とかを感じさせるものがいいですよね」……それから何度か飲みに行っても、ものすごく熱心に考えてくださって。それで「1つの街をサラリーマンが歩く」というテーマのインスタを始めることになりました。僕ね、前から自分の中で決めてることがあるんです。

——なんでしょうか?

ジョニ男 それはタモリさんから教わったことなんですけれども、タモリさんって自分の番組のことに全然口出さないんですよ。こうした方がいいんじゃないかとか、言わない。