昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

大山 くまお
2017/03/11

森友学園 安倍昭恵&稲田朋美の「今週の珍言」

名言、珍言、失言で振り返る1週間

安倍昭恵 首相夫人
「なんで、こんなに、わたしは注目を集めてしまってるんだろうって、すごく戸惑っているんですけど……」

フジテレビ系(FNN) 3月7日

 名言、珍言、問題発言で1週間を振り返る。拡大し続ける森友学園問題。国有地の格安払い下げ問題、ヘイト問題のみにとどまらず、ごみの埋め戻し問題、同学園が運営する保育園園児への虐待疑惑、系列の保育園の補助金1000万円不正受給疑惑、そして虚偽の契約書が提出された問題まで発生。松井一郎大阪府知事は、同学園が新設予定だった「瑞穂の國記念小學院」を認可できない見通しを発表した。

 当事者である籠池泰典理事長は連日ニュースやワイドショーなどを賑わせているが、もう一人の当事者である同小学校の元名誉校長・安倍昭恵首相夫人は同問題についてノーコメントを貫く。3月7日、文京区内で行われたイベントに出席した昭恵夫人が笑顔で語ったのがこの言葉。当事者意識ゼロということに驚くしかない。森友学園の教育方針に深く賛同し、感動の涙も流したはずだが、彼女にとってはもうどうでもいいことなのだろうか。

昨年の日ロ首脳会談での安倍昭恵夫人 ©文藝春秋

 一方、安倍首相ら自民党議員たちが関与を否定し、国会への参考人招致も見送られそうな籠池理事長は自らYouTubeに動画をアップ。「籠池潰しはやめてほしい。尻尾切りはやめてほしいんです」と悲痛な声をあげた。

稲田朋美 防衛相
「教育勅語の精神である親孝行など、核の部分は取り戻すべきだと考えており、道義国家を目指すべきだという考えに変わりはない」

NHK NEWS WEB 3月8日

 森友学園では幼稚園の園児に教育勅語を暗誦させていたこともクローズアップされたが、稲田防衛相は3月8日の参議院予算委員会で堂々と教育勅語の擁護を行った。なお、過去には雑誌で「教育勅語を素読している幼稚園が大阪にある。適当でないと文科省がコメントしたそうだが、どこがいけないのかと文科省に聞いた」という発言もしているが、これはどう見ても森友学園・塚本幼稚園のことだろう。

 稲田防衛相のように「教育勅語は良いことを言っている」とする声もネット上には少なくないが、作家の平野啓一郎氏は「教育勅語を暗唱させれば解決する、という発想は、天皇の権威を復活させ、その命令に無条件に従う『臣民』を作る、という前提以外に不可能」と指摘している(ツイッターより)。また、弁護士の渡辺輝人氏は、稲田防衛相について「公務員は憲法尊重擁護義務を負っているので、日本国憲法に反する戦前の勅語を公然と擁護する者は、防衛大臣にも、国会議員にも明らかに不適格」とバッサリ。そもそも、稲田防衛相や籠池理事長らが教育勅語にこだわる理由は一体何なんだろう? 素朴な疑問。

昨年1月、国会に着物で来た稲田朋美 ©文藝春秋


 
ドナルド・トランプ 米大統領
「神聖な大統領選の最中に私の電話を盗聴したオバマ大統領は最低だ。ニクソンのウォーターゲートに匹敵する。悪い(または病んだ)男だ!」

ツイッターより 3月4日

 今週のトランプ語録もまたドギツい。もちろん、オバマ政権下の情報機関トップはトランプ大統領の主張を完全否定。雑誌『Newsweek』は「また出た? トランプのオルタナ・ファクト(デマ)。証拠もなく人に罪を着せて自らの醜聞から目を逸らさせようとするのはいつものパターン」と見出しを打った。オルタナ・ファクトという言葉に「デマ」と身も蓋もない注釈をつけたのが秀逸。しかし、アメリカ、あるいは世界中がトランプ大統領のデマに振り回されているのもまた事実。

 新書『サイコパス』を書いた脳科学者の中野信子氏は、トランプ大統領の就任演説を聞き、「大衆はますます、短く、理解が容易で、刺激的な言葉しか受け付けなくなっていくのだろう」と感想を述べている(『文藝春秋』2017年3月号)。日本もそうなりつつある。というか、そうなっている。

西原理恵子 漫画家
「王子様を待たないで。社長の奥さんを目指すより社長になろう。お寿司(すし)と指輪は自分で買おう」

朝日新聞 3月3日

 3月8日の国際女性デーに合わせてインタビューで語った、若い女性たちへのメッセージ。若さや美しさは20年後には資産価値ゼロ、と西原氏。女性でも若いうちからキャリアを磨いて自分の資産価値を高められるかが重要と説く。「女磨きって、エステやネイルサロンに通うことじゃないんです」とも。

西原理恵子 ©文藝春秋

宝生永夢 『仮面ライダーエグゼイド』
「女の子がライダーにあこがれたっていいんだ! エグゼイドになってくれてうれしいよ! 最高にかわいくてカッコイイぞ! ありがとう!!」

『てれびくん』4月号

 テレビのバラエティ番組で、仮面ライダーのベルトが欲しいと泣いている女の子の動画を「子どもの屁理屈」として紹介して笑うという企画があったが、まったく正反対なのがこの言葉。子ども向け雑誌『てれびくん』の企画「仮面ライダーエグゼイド ナレルンダー写真シールコンテスト」で大賞を受賞したのは、エグゼイドになりきった女の子。主人公の宝生永夢も大喜びでコメントを寄せていた。

 なお、フェミニズムの論客としても知られるハリウッド女優のエマ・ワトソンは「男の子が女性のヒーローに憧れ、尊敬する社会になってほしい」と語っている(ハフィントン・ポスト 3月1日)。男らしく、女らしくもいいけれど、それ以外だっていいじゃないの。

務台俊介 内閣府・復興政務官
「その後、政府が持つ長靴が、えらい整備されたと聞いている。たぶん長靴業界は、だいぶもうかったんじゃないか」

朝日新聞 3月9日

 今週の失言。昨年9月、台風被害の被災地を視察した際、長靴を持参せずに政府職員におんぶされて水たまりを渡って批判された務台政務官が、8日夜の自らの政治資金パーティーでそのことを「ネタ」にして笑い飛ばした。「復興」政務官の不謹慎ジョークに与野党から批判が相次ぎ、当初は辞任を否定していたものの、あっという間に辞任に追い込まれた。

山田哲人 ヤクルトスワローズ
「僕は全然気にしてない。だから野球を嫌いにならず、またグラブを持って応援に来てほしい」

日刊スポーツ 3月9日

 いよいよ始まったWBC。侍JAPANの初戦、緊迫した展開の中で放たれた山田選手の鋭い打球はレフトスタンドへ一直線! と思いきや、少年が手を伸ばしてグローブでキャッチ。ホームランは取り消しとなり、スタンドの観客のみならず、ネットでは少年への批判が嵐のように吹き荒れた。

 そのことに胸を痛めたのが、山田選手本人。少年のことをいたわり、翌日の試合も「気にしてない」ことを伝えるために活躍してみせた。「これも何かの縁だし、将来プロ野球選手になって、一緒に『あんなことがあったね』と懐かしい話ができるように頑張ってほしい。僕も完璧な本塁打を打てるように頑張ります」。

山田哲人 ©文藝春秋

高嶋典俊さんの妻 長野ヘリ墜落事故
「かっこいいでしょ。超かっこいいんだよなあ」

朝日新聞 3月6日

 5日に発生した長野県防災ヘリコプターの墜落事故。消防防災隊員とパイロットの計9人が命を落とした。松本広域消防局から派遣されていた高嶋典俊さんは、消防という仕事を愛し、航空隊への希望をずっと出していたという。「天職だったんじゃないかな」と語る妻は、高嶋さんの写真を見つめ、目をうるませながら冒頭の言葉を絞り出した。夫婦の愛を感じる。

ヤフーの広告
「想像よりも、ずっと高いと感じたはず。でも、この高さを知っているだけで、とれる行動は変わる。そう。私たちは、今、備えることができる。」

毎日新聞 3月7日

 11日で東日本大震災から6年。ヤフーは東京・銀座のソニービル壁面に津波の高さを示す巨大な広告を掲げた。岩手県大船渡市を襲った津波の高さ16.7メートルが赤い線で示してあり、津波の大きさと恐怖をわかりやすく実感できる。広告のメッセージはこう続く。「被災した人たちの記憶に想像力をもらい、知恵を蓄えることができる。あの日を忘れない。それが、一番の防災」。

東京・銀座のソニービル壁面に設置した、岩手県大船渡市を襲った津波の高さを示すヤフーのメッセージ広告 ©共同通信社