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田舎の親が倒れた!「介護で人生を諦めない」ために出来る12のこと

命運を握るのは医療ソーシャルワーカーとケアマネジャー。介護休業と遠隔地見守りサービス で介護離職はしない!

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第3条「親のキャラクター」と「現在の様子」を知る

 申請書を提出したら、数日後に要介護認定調査の日程について連絡が入る。浅井氏は、調査員が来る前に「親のキャラクターと現在の様子を知っておこう」と助言する。離れて暮らした歳月の間に、変化していることもある。

「認定調査員は必ず最近の親の様子を質問しますが、知らないとフォローできません。また判定が出た後もケアマネージャーに『あなたの親はどんな人ですか?』と聞かれます。親の好物などを知っておきましょう。介護が始まると食べ物の好みは重要です。年をとって薄味が好きになったなど、嗜好は変化しているもの。

 普段飲んでいる薬や、食物や薬アレルギーの有無も把握してください。実際に介護を行うヘルパーさんにとって、普段の生活に関する情報は貴重です。あとは性格。几帳面、大らか、プライドが高い……。性格を知っていると安心して介護できます」(浅井氏)

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認定調査を親まかせにしてはダメ

 他にも親の仕事や経歴。将棋や社交ダンスなどの趣味。地域活動の有無。近所の親しい友人。好きな芸能人やテレビ番組等々。改めて整理しておこう。

「実家にある通帳や印鑑、キャッシュカードの場所を確認してください。高齢者の場合、キャッシュカードを作っていない場合もありますが、あったほうが便利です。あと介護保険被保険者証や健康保険証、お薬手帳をまとめて保管しておきましょう」(同前)

第4条「認定調査」にはメモを持参して立ち会う

 認定調査には医師の意見書も重要だ。かかりつけ医がいるのなら、意見書の作成を依頼しよう。いなければ入院中の病院や地域包括支援センターに、意見書作成の経験が豊富な医師を紹介してもらうとよい。

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 認定調査は、各市区町村から派遣された認定調査員が、自宅もしくは入院中の病院までやって来て行う。心身の状況や日中の生活、居住環境など、全国一律の方法で74項目について質問される。注意事項を太田氏が指摘する。

「必ず立ち会ってください。高齢者は調査員の質問に『できます』と答えてしまう人が多い。普段は動くのも辛いのに、無理して調査員にお茶を出すこともある。だから親の体調や行動で不安に思っていることをメモし、調査員へ渡してください。『本当は、普段はこうした動作ができない』といった親の前で言い辛いことは、プライドを傷つけないよう調査員が帰る際にこっそり伝えましょう」

「介護保険で支給されるのはいくら?」

第5条介護は「お金」を払って「プロ」に頼む

 認定結果が出るまでに考えておくべきは「お金の問題」だ。太田氏はいう。

「基本的に、介護はお金を払ってプロに頼むべきです。身体介助など、技術を持ったプロに料金を支払うという考え方です。

 その費用には親のお金を充てることが大前提。年金も資産も、親世代は大抵子世代より恵まれています。介護は『いくらかかるか』ではなく『いくらかけるか』が基本。親の収入の範囲内で、月々いくらまで出せるのか計算しましょう」