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岸本 葉子
2017/05/01

すぐできる整理術「すべての基本は物の置き場を決めること」

整理ができると、心のオリもとれてきます(1)

 仕事や家事に追い立てられて、あふれる情報、SNSに翻弄されて、なんだかイライラする…ということはないですか。ちょっとした整理整頓をして気持ちよく過ごす。岸本葉子さんの『もっとスッキリ暮らしたい ためない心の整理術』には、簡単でやさしい暮らしのヒントが詰まっています。本書から基本のワザを2つ紹介、お休み中にトライしてみませんか。

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物の置き場を決める

 日常をていねいに過ごしましょう、と言われても、「忙しくてできない」と思われるかもしれません。たまにはお茶をペットボトルではなく急須で淹れよう、湯呑みを前もって温めておき、沸騰後少しさましたお湯で淹れれば、ふくいくたる香りが立ち上り、緑茶の色がとてもきれい……とわかってはいるけれど、一念発起して玉露を淹れても(一念発起しないと淹れない生活も問題だが)せっかちな私は湯がさめるまで待てず、まっ黄っ黄のお茶になってしまう。

 いきなりハードルを上げなくても、ていねいな暮らしの基本をなすのは、「物の置き場を決める」ことだと思います。そう痛感したのは、ハサミを通して。

ハサミは使いたいときにすぐに見つからないと。©iStock.com

 切るという動作は、家の中で結構多い。買ってきた食品やトイレットペーパーの袋、郵便受けから取ってきた封筒、宅配便を梱包するガムテープ、服の裾のほつれから垂れた糸など。

 ほとんどが気の急(せ)くこと。すぐに開けたい。一刻も早く切って、始末したい。

 前は焦りにまかせてひきちぎったり力まかせに破いたりしていたけれど、変なふうに裂けて中味がばらけたり、ほつれが余計ひどくなったり、はなはだしくは指を傷つけたり、かえって手間を増やしてしまう。残りをとっておくものは、次に使うたびぞんざいな破れ目を見ることになり、そのたびにかすかな不快感が。

 ハサミを買ってきて、ストレスは格段に減る、はずでした。

 ところが、かんじんのとき見つからず、相変わらず手でべりっ、びりっ。

「精神衛生によくない、何よりも非効率だわ」

 と、また買う、ということが続いて、あるとき家捜(やさが)ししたら、狭いうちなのに計三本も!

 置き場を決めることにしました。一本は台所の引き出しに。主に食品の袋を切る。二本めは玄関の下駄箱の上の小さな箱に。出がけに発見したほつれ糸も、取ってきた郵便物も、宅配便やごみをまとめるときのガムテープや紐もそこでカット。三本めはパソコン机の引き出しに入れたものの、あまり使わず、二本で充分だったのかも。

 かんじんなのは、使ったら定位置に戻すこと。これをしないと、何本あっても足りません。むしろたくさんあるほど、行方不明になってしまいがち。

 コンビニに宅配便を出しにいくと、そのたびに必ず店員さんが受付印を探して右往左往。その間にレジ前にお客さんが溜まっていく。

「忙しいほど、置き場を決めておくと楽なのに」

 かつての自分を振り返るのです。

居場所の決まっている方もいます。©iStock.com

* 物の置き場を決める
* 使ったら元へ戻す
* 安易に数を増やさない

「玄関は片づけの最前線。ハサミと黒ペンで効率アップ」に続く