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舘鼻則孝「レディー・ガガの靴も手がけた男が、日本独特の死生観をアートに」

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 レディー・ガガも愛用する爪先が厚底状になったヒールレスシューズ(踵のない靴)を世に生み出し、20代半ばで世界に名を馳せた舘鼻則孝さん。花魁(おいらん)の下駄と西洋の革の靴を融合させた舘鼻さんの靴は“人類の靴の歴史”としてメトロポリタン美術館などに永久所蔵されている。

 若き鬼才の飽くなき創作欲は、近年日本独特の死生観へ向かっている。「きっかけは東日本大震災ですね。自分の死が目の前に迫ってきて、怖かったし、影響を受けました。自分の身体をスキャンして、骨を抽出し、自分の骸骨で自刻像を作ったのもその1つです」(舘鼻さん)。

 東京・天王洲で開催中の個展「CAMELLIA FIELDS」の表題作は、720個もの手彩色を施した鋳物製の椿の花を、床に敷き詰めた。育った鎌倉の覚園寺で目にした、花の姿のまま地面に落ちた椿の花に、鎌倉武士も心寄せた「潔さ」を感じ、日本の死生観として表現した作品。1つ1つの花弁や細部まで手作業で作られている。「私のアート作品の多くに、全国の伝統工芸士の方たちの技を使っています。いま続けなければ失われてしまう技術を継承することも大事な使命です」

INFORMATION

「CAMELLIA FIELDS」
画廊KOSAKU KANECHIKAにて、4月28日まで開催。
http://kosakukanechika.com/

舘鼻則孝「レディー・ガガの靴も手がけた男が、日本独特の死生観をアートに」

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