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名言ハンターが選ぶ、政治を停滞させた「問題発言」2017年春

「神様は何を望んでいるのでしょう」

2017/05/05
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安倍昭恵 首相夫人
「何でこんなことになってしまったのか、神様は何を望んでいるのでしょう」

産経ニュース 3月24日

何でこんなことになってしまったのか――安倍昭恵夫人 ©JMPA

 森友学園問題における最重要人物の一人は、安倍昭恵首相夫人だ。緊迫する世界情勢への対応や、共謀罪に関する議論など、重要な政治課題が山積みだった今年前半だが、昭恵夫人の過去の行動に国会全体がひっかき回された感がある。

 ところで、3月24日に公開された昭恵夫人と籠池氏の妻、諄子氏とのメールのやりとりは異様だった。昭恵夫人のメールで特に目立つのは「神様」と「祈ります」という2つの言葉だ。

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『文藝春秋』3月号の記事「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」では、ノンフィクション作家の石井妙子氏が昭恵夫人の「スピリチュアル的なものや、神道への傾倒」について指摘している。昭恵夫人が森友学園に心惹かれたのも、新設予定だった小学校が「日本初で唯一の神道の小学校」だったからだ。また、「水の波動」理論で知られるスピリチュアル界の有名人・江本勝氏(2014年死去)から大きな影響を受けていることも知られている。江本氏は生前、福島県の放射能汚染水を「愛と感謝の祈り」を日本中から送れば浄化できると主張、昭恵夫人もネットを通じて「江本先生からのメッセージを実践しよう」と呼びかけている。なお、江本氏と結びつきが強かったのは安倍首相の父・晋太郎氏をはじめとする安倍家のほうだった。

「少し幼い思考」

 昭恵夫人にインタビューを行った西田亮介東京工業大准教授は、「戦前の強かった日本が好きだという心情と、スピリチュアル、エコロジー。それらが混然一体になっている感じでした」と証言している(朝日新聞 4月6日)。戦前回帰に傾く心情は、森友学園の教育方針とも共鳴していた。そして、昭恵夫人の中のさまざまな要素のベースになっているのが、「日本を神聖視する、危うさを含んだ、少し幼い思考」(石井妙子氏による指摘)である。そして、それは根っこの部分で安倍首相と深く結びついている。

 当然ながら安倍政権は昭恵夫人の奔放な振る舞いを制限するだろうが、今後また何をしでかすかわからないのもまた事実。「主人と意見が違うように見えても、目指すところは一緒で、日本を取り戻したいんです」と石井氏のインタビューで語った昭恵夫人。安倍首相夫妻は、日本を一体どうしたいんだろう?

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